森林総合研究所(茨城県つくば市)は、国産の白トリュフを人工的に発生させることに初めて成功した(2月9日に発表)。今後、栽培技術を確立し、「10年くらいをかけて商用化にもっていきたい」(研究統括者の山中高史・森林総研東北支所長)としている。
トリュフは、独特の芳香を持つきのこで、西洋料理の高級食材などとして珍重されている。黒トリュフは欧州で人工栽培が行われているが、白トリュフはとくに希少性が高い。国内で流通しているトリュフはすべて海外産で、年間に10~15億円が輸入されており、欧州産は㎏当たり8~9万円と高値で取り引きされている。
国内には20種類以上のトリュフが自生しており、食材として期待できる種もあるが、人工栽培技術は確立していなかった。森林総研は、国産トリュフの栽培化を目指して、2015年度から研究プロジェクトに取り組み、白トリュフの1種で、岩手県から岡山県にかけて自生している「ホンセイヨウショウロ」に目星をつけた。ホンセイヨウショウロの菌を根に付けて共生させたコナラの苗木を4か所の試験地に植栽した結果、昨年(2022年)11月に、茨城県内の試験地(2017年10月植栽)で8個、京都府内の試験地(2019年4月植栽)で14個の白トリュフ(子実体)が生えていることを確認した。これら計22個の白トリュフについて、形態や遺伝情報などを調べたところ、ホンセイヨウショウロを人工的に発生させたことが裏付けられた。
収穫された白トリュフは、大きいもので9㎝、重さは60gほどあり、海外産の白トリュフにひけをとらない芳醇な香りを持っているという。森林総研では、白トリュフが発生した環境や樹木との共生関係などを詳しく調べて安定的に栽培できる条件を明らかにし、商業ベースでの生産につなげる...
『林政ニュース』編集部
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