外資の森林買収や「盗伐」案件が収束傾向に、“監視の目”が光る

全国 海外 統計・調査

外資の森林買収や「盗伐」案件が収束傾向に、“監視の目”が光る

外国資本による国内森林の買収や、いわゆる「盗伐」事案の件数がピーク時よりも減少し、落ち着きをみせてきている。

農林水産省と林野庁が7月19日に公表した最新の調査結果によると、昨年(2023年)の外国資本による国内森林の取得は33件、面積では134haだった。一昨年(2022年)の18件・43haより件数・面積ともに増えたが、2018年の40件・435haなどと比べると規模は小さくなっている(トップ画像参照)。

外資による森林買収は、2000年代に入ってから目立つようになり、2011年に改正された森林法では、森林を所有した者が届け出を行う仕組みを導入するなど、“監視の目”を強化してきている。

2023年に行われた森林買収のうち、26件・117haは北海道内の物件で、留寿都村では英領バージン諸島に拠点を置く企業が53haを取得した。2006年から2023年までの累計(358件・2,868ha)でみても、約7割(275件・2,044ha)は北海道内の物件となっており、インバウンド需要目当てのリゾート開発などが投資の誘因になっているとみられる。

また、昨年1年間に「盗伐」(民有林内での無断伐採)関連で都道府県や市町村に情報提供や相談があったのは72件で、前年の74件から2件減少し、警察に持ち込まれた相談も24件から19件に減った。 「盗伐」に関しては、2017年10月に宮崎県内で伐採届を偽造して無断伐採が行われたことが発覚し、全国的な調査が行われるようになった*1。その後、不許可伐採を行った業者に有罪判決が下り、伐採許可制度の運用を厳格化したことなどで、事件化する案件はみられなくなった。担当の林野庁計画課も、「最近はメディアが取材に来ることもない」と話している。

(2024年7月19日取材)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしていきます。

この記事は有料記事(771文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。