東ソーが苗木基金を創設、年間600万円拠出し山口県内の再造林支援

東ソーが苗木基金を創設、年間600万円拠出し山口県内の再造林支援

総合化学メーカーの東ソー(株)(本社=東京都中央区、本店=山口県周南市、桒田守社長)は、苗木基金を創設して山口県内の再造林を支援する取り組みを開始した。同社の南陽事業所(山口県周南市)と山口県森林組合連合会及び山口県の3者で4月10日に協定を結び、同事業所の自家発電所で用いるバイオマス燃料(林地残材)の使用量に応じて資金を拠出し、苗木の安定供給につなげることを申し合わせた。

同事業所には、石炭火力による自家発電所が6基ある(合計出力77万6,000kW)。今年度(2024年度)から発電用燃料として山口県森連が林地残材由来のチップを供給し、石炭と混焼させる。同事業所は、自家発電所で消費する年間3,000tのチップ量に応じて600万円を苗木基金用に拠出する。苗木基金の運営は県森連が行い、森林所有者からの申請をもとにスギ、ヒノキなどの苗木約6万本を無償で提供し、再造林の促進を図る(参照)。来年度(2025年度)以降のチップ供給量などは、県森連の林地残材収集量を踏まえて調整する。

東ソーの創業地である同事業所は、塩や石油から苛性ソーダやエチレンなどを製造する同社最大の加工拠点で、国内最大級の化学工場となっている。同社グループは、環境対策として「2030年度までに2018年度基準で30%のGHG(温室効果ガス)排出量削減」を目標に掲げている。この目標達成に向けて、2026年4月には同事業所の老朽化した石炭火力発電所1基を廃止し、木質ペレット、建築廃材、RPF(古紙・廃プラスチック等由来の固形燃料)などバイオマスを主燃料とする出力7万4,000kW の発電所を新設・稼働させることにしている。

(2023年4月10日取材)

(トップ画像=山口県庁内の会議室で「東ソー苗木基金の創設に関する協定」に調印した(右から)吉水昭広・東ソー南陽事業所長、村岡嗣政・山口県知事、金子栄一・山口県森連会長、画像提供:山口県)

『林政ニュース』編集部

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