福井県と飯田グループホールディングスが連携協定締結 「大きな林業」と「小さな林業」を推進

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福井県と飯田グループホールディングスが連携協定締結 「大きな林業」と「小さな林業」を推進

福井県(杉本達治知事)は、飯田グループホールディングス(株)(東京都武蔵野市、兼井雅史社長)及びファーストウッド(株)(同、富島寛社長)と「Fukui(ふくい) Forest(フォレスト) Design(デザイン)の推進に関する協定」を9月19日に締結した。同県が進めている「大きな林業」と「小さな林業」の最適な組み合わせによる森林の利活用と山村振興などに連携して取り組んでいく。

大手ハウスメーカーの飯田グループホールディングスは、創業者である故飯田一男氏が県内の旧今立町出身。また、グループ会社のファーストウッドは、福井市と大野市にある工場で住宅部材などを製造している。

協定に基づき3者は、主伐・再造林の促進と苗木生産体制の強化、県産材家具などの情報発信と販売、自伐林家の育成や自立支援などで協力していく。今年度(2023年度)内に「福井県産材活用研究会」を設置して、県産材製品の販売戦略や県産丸太の新たな活用方法などに関する検討を始めるほか、10月に越前市のサンドーム福井で初開催する「フクモクフェス」でも連携することにしている。

協定の締結式は、福井市北菅生町で行われ、林業現場の視察に訪れていた前首相(第99代)の菅義偉氏(衆議院議員)も同席した。杉本知事は上京のたびに菅氏を訪ね、同県の取り組みを説明し、来県を要請してきた。菅氏は、首相在任中に森林経営管理制度がスタートしたことを踏まえ、「福井県は、林業改革を活かしつつ『大きな林業』と『小さな林業』を組み合わせ、山の価値の最大化に挑戦している。地方の所得を上げる取り組みを応援していきたい」とコメントした。

所有者と事業体が10年程度の一括契約、「自伐」の自立支援

福井県は、県内にある約12万haの人工林をのように管理・経営していくビジョンを示している。①災害リスクの低い林業適地では主伐・再造林を推進する「大きな林業」(ふくい型林業経営モデル)、②集落周辺の急勾配な人工林では小規模・多間伐を基本とした「小さな林業」(自伐型林業)――を行っていくことにしており、来年度(2024年度)から本格展開する方針だ。

「大きな林業」と「小さな林業」の展開イメージ

「大きな林業」の対象エリアでは、森林所有者と林業事業体が10年程度の長期一括契約を結んで、コンテナ苗や最新の林業機械・機器などを使った低コスト林業を進めることにしており、今年度から県内10か所で実証事業に着手している。一方、「小さな林業」については、自伐型林業を目指す移住者への給付金や研修・技術指導、副業化(半林半X)などに関する支援策を講じていく。4月には福井市内で自伐型林業大学校が開校し、これまでに県外者28名を含めた34名が受講しており、飯田グループホールディングスの協力などを得ながら、自立に向けたサポートを手厚くしていくことにしている。

(2023年9月19日取材)

(トップ画像=協定締結式は山林内の木製トレーラーハウス前で行った、画像提供:福井県)

『林政ニュース』編集部

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