埼玉県全体で輸入材に頼らない体制構築へ 協議会で方向性を示し、新規予算で支援

埼玉県は、全県レベルで輸入材から県産材への転換を進める。今年度(2023年度)に新設した県産木材供給体制構築協議会の第1回会議が7月20日に開かれ、県産材の安定供給に向けた問題点などを抽出・共有した。今後も分析・調査などを重ねて解決方向などを協議・検討し、来年度(2024年度)以降に新たな供給体制の構築を目指す。

同協議会のメンバーは、森林組合やプレカット業者、工務店など、同県に拠点を置く林業・木材・建築関係者と県の計25者で構成されており、事務局は県農林部森づくり課がつとめる。全県レベルで川上から川下に至るプレーヤーが同じテーブルにつくのは全国的にも珍しい。

協議会での議論と進行を円滑に進めるために、アトリエフルカワ一級建築士事務所代表の古川泰司氏がファシリテーターをつとめる。古川氏は、「まだ始まったばかりで、これからが本番。各メンバーの意見を引き出しながら、望ましい方向性を探っていきたい」としている。

乾燥機の整備など支援、森林パートナーズのSCMを横展開へ

同協議会の運営は、同県が今年度に立ち上げた「輸入木材に頼らない県産木材供給体制促進事業」(予算額は約5,200万円)の一環として行われる。同事業では、人工乾燥機や木材加工施設の整備とサプライチェーンの構築に取り組む事業者への支援も行うことにしている。同県では、森林パートナーズ(株)(東京都目黒区)らが秩父地域を中心にQRコードを使って先進的なサプライチェーンマネジメント(SCM)を推進しており、同様の取り組みを横展開することも目指す。

県森づくり課の担当者は、「県内全体の木材供給体制について協議を重ねると同時に、実務に則した支援も行い、県産材が入手しやすい環境を整えていきたい」と話している。

(2023年7月20日取材)

『林政ニュース』編集部

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