奈良県が独自に養成してきた「森林管理職」の第1期生・7名が2年間の研修を終え、初代の「奈良県フォレスター」に任命された。「奈良県フォレスター」は、県の職員として市町村に派遣され、異動することなく長期間にわたって森林管理などの業務に従事する。全国でも例のない専門人材の活用システムが動き出した。
「奈良県フォレスター」の第1期生は、県職員(森林管理職)として採用された後、スイスの森林管理官(フォレスター)制度などをモデルとした人材養成機関「奈良県フォレスターアカデミー」(吉野町)に入学し、伝統的な吉野林業や近自然型のスイス式林業を取り入れた森林管理に関する知識や技能などを2年間にわたって学んできた。
同アカデミーを卒業したことを踏まえ、4月3日に県庁で「奈良県フォレスター」としての辞令交付式が行われ、7名が五條市や吉野町、川上村など7市町村に各1名ずつ派遣された。今後、原則的に定年まで同じ市町村に勤める。
派遣先の市町村では、「森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」に基づいて民有林をゾーニングし、森林が持つ4機能(森林資源生産、防災、生物多様性保全、レクリエーション)の高度発揮に向けて市町村森林整備計画の策定などを行う。また、伐採届に関する業務を県の職員として担当し、全県レベルで伐採情報等を共有化することにも取り組む。
なお、来年度(2024年度)は2名、再来年度(2025年度)は6名の「奈良県フォレスター」が任命され、市町村に派遣される予定となっている。
(2023年4月3日取材)
(トップ画像=初代「奈良県フォレスター」に任命された7名)
『林政ニュース』編集部
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