高知県が再造林対策強化、「プラン」策定へ 「推進室」新設、集中投資し支援を拡充

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高知県が再造林対策強化、「プラン」策定へ 「推進室」新設、集中投資し支援を拡充

高知県は、今年度(2023年度)から再造林対策を抜本的に強化する。4月1日付けで木材増産推進課内に「再造林推進室」を新設し、同室が中心となって9月までに「再造林推進プラン」を策定して、2027年度に向けた基本方針や重点的な取り組み、数値目標などを定める。

同県は、原木(丸太)生産量を現状(2021年)の65万6,000m3から2025年には85万m3に増やすことを目指しており、皆伐面積が拡大する状況にあるが、再造林率は40%程度にとどまっている。現在実施している「第4期高知県産業振興計画」(2020~2023年度)の中では、再造林率を70%に引き上げる目標を設定している。これを踏まえて、新たにつくる「再造林推進プラン」では2027年度に向けた具体的な取り組みテーマなどを示す。すでに骨子案は固まっており、重点事項には、①林業適地への集中投資、②林業収支のプラス転換、③造林の担い手確保──の3つを位置づけた。①では、森林クラウドによるデジタル情報などを活用して効率的に林業が行える適地を選定・公表して支援施策の選択と集中を図る。②では、再造林基金の造成などを通じた支援体制の拡充や、低コスト施業・省力化機械・早生樹などの導入、バイオマス利用の推進などによって林業経営の採算性を向上させる。③では、造林専門事業体の起業や、伐採事業者と連携して造林事業を開始する事業体などの支援に乗り出す方針だ。

低密度植栽など普及、再造林基金の造成を支援し“横展開”へ

同県は、今年度予算にも再造林を促進するための新規事業を盛り込んだ。

新たに、再造林の推進に向けて取り組む事業者がha当たり2,000本以下の低密度植栽による省力・低コスト施業を行う際に一般管理費の一部を支援する事業(予算額は約3700万円)を実施するほか、造林事業を開始する事業体等が資機材を導入する経費を助成する事業(同約570万円)も行う。優良種苗の供給力を高めるため、県内で3か所目となるミニチュア採種園の造成(同640万円)にも着手する。

また、地域の関係者が出資して再造林支援基金を造成することを後押しする事業(同約190万円)もスタートさせる。これまでに講じられた支援制度等で森林所有者が負担する再造林経費については90%程度まで助成されているが、新たに一般管理費についても支援することでさらなる負担軽減を図り、円滑な基金造成につなげる。昨年(2022年)12月には、同県内初の再造林支援基金が仁淀川町で設立されており、県の再造林推進室は、「これを1つのモデルにして、新規事業を活用しながら“横展開”を図っていきたい」としている。

(2023年4月1日取材)

『林政ニュース』編集部

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