大東建託が朝来バイオ発電所の事業を継承 売電はせず、2024年度中の再稼働を目指す

大東建託が朝来バイオ発電所の事業を継承 売電はせず、2024年度中の再稼働を目指す

昨年(2022年)12月末に、燃料材の調達難などで稼働停止に追い込まれた朝来バイオマス発電所(兵庫県朝来市)*1の新たな運営主体として、木造賃貸住宅大手の大東建託(株)(東京都港区、竹内啓・代表取締役社長)が名乗りを上げた。

同社は、7月6日に(株)関電エネルギーソリューション(大阪府大阪市、川崎幸男・代表取締役社長)と兵庫県森林組合連合会(兵庫県神戸市、石川憲幸・代表理事副会長)との間で事業譲渡契約を締結、同発電所と燃料材をチップ加工するbe材供給センター(朝来市)の事業を引き継ぎ、来年度(2024年度)中の再稼働を目指すことにした。

40年までに使用電力を100%再エネに、2×4端材も活用

大東建託は、2019年に国際的なイニシアチブ「RE100」へ加盟し、2040年までに事業活動で消費する電力を100%自社発電の再生可能エネルギーにシフトすることにしている。

朝来バイオマス発電所とbe材供給センターの事業を引き継ぐことで、燃料材の調達から発電まで一気通貫で行えるようになり、つくり出した電力は同社グループの西日本の事業所で使用する。これにより同社グループにおける再生可能エネルギーの国内導入率は50%に達する見込みだ。

同社は、2012年から賃貸住宅の屋根に太陽光パネルを設置する事業も行っている。同発電所の運営などでプロジェクトリーダーをつとめる同社技術開発部の大久保孝洋次長は、「太陽光発電では日中の発電しかできないが、木質バイオマス発電は電力を24時間安定的に供給できる。この違いは大きい」と話している。

同社は、同発電所の安定稼働に向けて、設備関係の追加工事と燃料材調達ルートの拡大を図る方針。燃料材については、従来からの丸太調達に加え、同社グループのパネル工場から出る2×4(ツーバイフォー)部材の端材も使用することにしている。

大久保次長は、「FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)を利用した売電は考えていない。RE100達成に向けて取り組み、国内林業への貢献を目指す」と明言している。

(2023年7月6日取材)

『林政ニュース』編集部

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