CLT床版で傷んだ橋を修復、実用化プロジェクトが進む

CLT床版で傷んだ橋を修復、実用化プロジェクトが進む

全国各地で橋のメンテナンスが課題になっている中、床版にCLT(直交集成板)を用いる試みが進んできている。CLT床版はコンクリート製などよりも軽量なので運搬や架設が容易になり、主桁や下部工への負荷も軽減されて全体的なコストダウンにつながるメリットがある。

土木学会内に設置されている木橋研究小委員会が既設橋梁を補修する新しい材料としてCLT床版に着目、秋田県立大学の佐々木貴信教授をリーダーとする6人のメンバーが実用化プロジェクトに取り組んでいる。

一昨年2月には、秋田県大仙市で既設橋梁の床版をCLT製に取り替える工事が行われた。この橋は、1990年の河川改修に伴ってつくられた長さ10m、有効幅員3mの農道橋。架設後25年以上が経過して腐朽による劣化が進行し、床版補修の必要が生じたため、管理者である秋田県仙北地域振興局がCLT床版の採用を決めた。

使用されたのは、同県内の工場で製造されたスギCLTで、幅1m、長さ3.5m、厚さ120㎜のパネル2枚を接着して幅2m、長さ3.5mの大判サイズにし、接着部分はCFシートで補強した。所定の寸法に仕上げた後、ポリマーセメント系の防水剤を2㎜厚で塗布し、表面保護処理も行って5枚のCLT床版を製作した。1枚当たりの重量は約400㎏におさまり、架設作業は1日で完了した。

佐々木教授らのプロジェクトチームは、農道橋利用者らの協力を得ながら定期的な載荷試験などを行っており、耐久性なども確かめた上で小規模橋梁を中心に本格普及を目指すことにしている。

(トップ画像=小規模橋梁の補修にCLT床版を利用)

『林政ニュース』編集部

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