台湾人と協働し福島県内で早生樹植林推進  レックが「特定活動」を通じて外国人材活用

東北地方 福島県 海外 人の動き 研修

台湾人と協働し福島県内で早生樹植林推進  レックが「特定活動」を通じて外国人材活用

福島県平田村に事業拠点を置く(株)レック(東京都港区、坂口浩太郎社長)は、台湾人と協働して早生樹を植林する事業を5月から行っている。

同社は、航空券代などの負担を必要とせず、受け入れが容易な在留資格の「特定活動」を利用。ワーキング・ホリデー制度などを含む「特定活動」では、2国・地域間の取り決め等に基づき、在留資金を補うための就労が認められている。18歳以上30歳以下であれば申請でき、在留期間は最長1年。働きながら異文化体験等を深めるのが目的であり、風俗営業等を除いたあらゆる職種に就労できる。同社は、3名の台湾人と植林班を編成。班長には、同社と専属委託契約を結んでいる合同会社well tree(山形県米沢市)の畠山広太代表を据えた。

畠山代表は、森林組合で5年間働いた後、3月末にwell treeを立ち上げた。台湾人との協働については、「日本語のコミュニケーションに少し難があるが、丁寧に教えると腹を据えたように取り組んでくれる」と話し、約20日間で計1万本のコウヨウザンやユーカリを植えた仕事ぶりに触れ、「若いから体力があるし仕事も早い」と評価している。レックの坂口社長も、「在留期間は1年しかないが、受け入れ体制やノウハウを磨きながら、今後も継続・拡大していきたい」としている。

約3万haの山林・立木取得を目指して、ネットワークを強化

レックは、平田村と山形県米沢市で木質バイオマス発電事業を行っている新電力開発(株)(東京都港区、坂口愼一郎社長)の関連会社だ。新電力開発が発電所を計画・運営し、レックが燃料材の伐出や植林などを行う連携体制をとっている。

新電力開発は、福島県平田村で出力2,000kWの木質バイオマス発電所を2基運営していることに加え、山形県米沢市で同7,000kWと同2,000kWの発電所を各2基新設することを計画している。計6基を稼働させるには年間約36万tの燃料用丸太が必要になる。

このため、両社は、自社林の取得や、「レックの会」を中心にした林業事業体のネットワーク化などに取り組んでいる。2035年までに約3万haの山林・立木を取得する目標を立てており、すでに5,000ha以上を確保した。

また、「レックの会」には、東北地方だけでなく九州地方の事業体も含めて20社以上が参画している。

「レックの会」は定期的に勉強会などを行っており、5月31日には福島県郡山市内で会合を開いた

現場作業を担うレックは、50台近くの重機を保有しており、原木運搬用トレーラー等も25台を発注した。保有機械は会員の事業体にリースできるようにしており、「身一つで来ても仕事ができる」(レックの坂口社長)という。同社は、原木流通拠点の整備なども検討しており、新電力開発の坂口愼一郎社長は、「関係者が一致団結して林業を活性化させたい」と話している。

なお、新電力開発では、山林事業本部素材生産管理部長に元会津森林管理署長の中島勇雄氏が4月1日付けで就任し、6月1日付けで坂口大樹開発経営企画室長が副社長に昇格した。

(2024年5月31日取材)

(トップ画像=台湾人による植林の様子、画像提供:レック)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしていきます。

この記事は有料記事(1348文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。