一般流通材をメインに使った8階建て純木造の建物が埼玉県内で建設されている。この建物は、木造の注文住宅や分譲住宅、工務店支援事業などを行っている(株)AQ Group(東京都新宿区、宮沢俊哉社長、旧アキュラホーム)の新社屋。8月25日に、構造現場見学会が行われた。
8階建て純木造新社屋の延床面積は6,076.52m2、高さは30.95m。1階から4階までは2時間耐火、5階から8階は1時間耐火仕様としている。木材使用量は約3,655m3で、主要材料はダグラスファー(ベイマツ)。国産材の使用割合は7.7%で、主にヒノキやカラマツを用いている。
同社は、昨年(2022年)11月から木造建築を全国の街並みに広げる「RE:Treeプロジェクト」を展開しており、需要分野を広げるために「普及型純木造ビル」を開発した。一般に流通している木材や金具などとプレカット加工技術を活かし、木造軸組工法に通じている地場工務店などが手がけやすい建物にしている。
新社屋は、「普及型純木造ビル」のフラグシップ施設に位置づけており、コストパフォーマンスの追求と木の現しの共存を目指している。建築コストは同規模の鉄骨造やRC造と同程度に抑え、耐火被覆を必要としない構造部では組子格子耐力壁、両面合板耐力壁、相欠きラーメン構造を採用し、基本的に木は現しで用いている。
宮沢俊哉・AQ Group社長の話「新社屋では新技術や防耐火、コスト面など様々な挑戦をしている。何か不具合があれば自分たちの手で改善し、中規模の木造建築物を普及していく」
(2023年8月25日取材)
(トップ画像=建設が進む新社屋の内部、来年(2024年)4月に完成する予定)
『林政ニュース』編集部
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