ポイント解説・2027年度林野庁関係予算要求【緑風対談】

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林野庁が8月31日に財務省へ提出した来年度(2027(令和9)年度)予算概算要求は合計3,956億円、対前年度当初予算比で27.1%の大幅増となっています*1。高市政権が打ち出した「補正予算依存からの脱却」や「強く豊かな日本」投資枠を踏まえて大きく膨らんでいる予算要求の中身を「緑」と「風」が解きほぐします。

補正からの脱却や「青天井」投資枠で要求額は膨らんだが…

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8月31日に林野庁の来年度(2027(令和9)年度)予算概算要求が財務省に提出された。早速、ポイントを解説していこう。
まず、要求額は合計3,956億円で、対前年度当初予算比では27.1%の増となっている。参考までに前年度(2026(令和8)年度)の要求額は3,458億円で同12.7%増だった*2。これと比べると今回は大幅増の要求となっているが、それにはワケがある。

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そうだ。高市首相は、来年度予算編成にあたって、「補正予算依存からの脱却」を指示しており、必要な経費は当初予算にすべて盛り込むよう各省庁に求めている。これまでは、「補正予算ありき」で当初予算要求を組み立てていたが、ここで構図が大きく変わった。年度途中の補正予算はないものとして当初予算要求を行うのだから金額は当然増大することになる。

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政府全体の要求総額は過去最大の143兆円程度になっており、農林水産省の要求総額も3兆1,377億円で同36.7%増と大きく膨らましている。これに比べると、林野予算要求の同27.1%増という伸び率は控え目にも映る。

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来年度予算要求の総額を膨らませている要因は、もう1つある。これも高市首相肝いりの「強く豊かな日本」投資枠の創設だ。同投資枠のウリは、要求額の上限(シーリング)を撤廃した「青天井」にしていること。これまでの予算要求は、シーリングの枠内で必要経費を確保することに知恵を絞っていたが、その箍(たが)が外れた。「青天井」投資枠には、各省庁から10兆円以上の要求が集まり、農林水産省も4,272億円を要求した。

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ただし、金額が増大したといっても、まだ要求段階の話。年末にかけて行われる予算査定でどこまで絞り込まれるのか。林野庁の担当官も、「今回は先が読めない」とこぼすほどの筋書きのない状況になっている。

「森の国・木の街」創造連携イニシアティブ事業で83億円要求

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さて、このようなニュースキームの下でまとめられた林野予算要求の重点事項をみよう。最大の目玉は、前号でも報じた「森の国・木の街」創造連携イニシアティブ事業の新設だ。「青天井」投資枠に合致するものとして、83億円を要求した。
この新規事業は、6月に閣議決定された新しい森林・林業基本計画*3の実行と推進を眼目としており、都道府県が策定する「森の国・木の街創造連携計画」(仮称)に基づいて、川上から川下に至る先駆的な取り組みを集中的に支援する。

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都道府県がつくる創造連携計画の主な記載内容は図のようになっており、支援対象となる取り組みには、森林の集積・集約化、スマート林業技術の実装、路網整備、木材製品の付加価値向上、都市の木造化・木質化などがあげられている。総花的な補助メニューが並ぶ中に、都道府県ごとの“個性”をいかに織り込ませていくかがミソになりそうだ。

「森の国・木の街創造連携計画」の主な記載内容
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同じく「青天井」投資枠で要求したのは、林業適地における路網整備・再造林等の推進(要求額は254億円)とスマート林業等新技術推進総合対策(同7億円)及び花粉の少ない苗木の生産拡大(同28億円)。「青天井」投資枠は、潜在成長率を引き上げる戦略17分野にマッチする要求に重点配分することにしている。しかし、林業を含めた第1次産業は、この17分野に入っていない。ただし、AIやデジタル、防災・国土強靭化といったキーワードは入っており、これらを足がかりにして、林業・木材産業を次世代型に進化させる予算を確保したいというのが林野庁のスタンスだ。

主力の林野公共事業も増額だが「事項要求」との兼ね合いはどうなる?

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「青天井」投資枠をあてにしない通常パターンの要求では、森林循環利用・付加価値創出対策(同186億円)、森と木の人材育成・確保総合対策(同57億円)、森林の総合保全対策(同22億円)、花粉症解決に向けた総合対策(同73億円)で所要額の確保を目指すことにしている。いずれも非公共事業で、前年度当初予算では大部分を「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」としてパッケージ化していた。

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林野予算の主力である一般公共事業に関しては、森林整備事業で1,653億円、治山事業で816億円を要求した。ともに前年度当初予算比30.0%の増で、同じく農林水産省の主力公共事業である農業農村整備や海岸と同水準の伸び率となっている。
前年度概算要求では、森林整備事業で1,485億円、治山事業で739億円を計上していた。これと比べても、今回の要求額は大きくなっているが、前述したように「補正予算依存からの脱却」を前提にしているのだから増額は自然の流れだ。

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そうなのだが、ひっかかるところがある。それは、林野公共予算の獲得に直結する「第1次国土強靭化実施中期計画」に係る経費が「事項要求」となっていることだ。「事項要求」とは「予算編成過程で検討する」という意味で、これまでは補正予算で決着がついてきた。しかし、今回は「補正なし」を前提にしているので、「予算編成過程」が具体的にいつなのかが判然としない。この点を担当官に尋ねても、「私達も初めてのことなので…」と明確な回答は返ってこない。
以上のように新たなスキームで動き出した来年度予算編成がこれからどのような道筋を辿っていくのか。予断を持たずに注視していく必要がありそうだ。

(2026年8月31日取材)

詠み人知らず

どこの誰かは知らないけれど…聞けないことまで聞いてくる。一体あんたら何者か? いいえ、名乗るほどの者じゃあございません。どうか探さないでおくんなさい。

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