(株)丸井グループ(東京都中野区、青井浩・代表取締役社長)が東京都渋谷区で建設中の大型木造商業施設「渋谷マルイ」の工事現場が7月3日に報道関係者に公開され、金子恭之・国土交通大臣と鈴木憲和・農林水産大臣も視察に訪れた。
構造部分の約6割に木材(オール国産材)を使用
1971年に開店した渋谷マルイは、同グループの旗艦店として日本のファッショントレンドなどを牽引してきたが、建物の老朽化が進んだため、2022年8月末に一時休業し、解体して新築する建て替え工事に入っている。建て替えにあたって本格的な木造商業施設にする計画を打ち出し、構造部分の約60%に木材(国産材)を使用し、外壁も木質化するなど、“都市の木造・木質化”を象徴する物件となっている。来年(2027年)夏にはオープンする予定だ。
視察した金子大臣は、「これだけの本格的な大型木造商業施設は、日本にとどまらず世界でも初めてとなる。耐火性能を確保すれば柱・梁・床などに国産材をふんだんに使用できる。このような先進的事例を全国に広げたい」と述べ、鈴木大臣も、「木造にすると建設費が高くなると思われがちだが、技術開発などでコストダウンが進んでおり、最近の資材高などを踏まえると十分な価格競争力がある」との見方を示した。

耐火集成材やCLTを採用、外装に多摩産のスギ板
建設中の渋谷マルイは、地上9階・地下2階で、最高高さは50.64m、敷地面積は約839m2、建築面積は約705m2、延床面積は約6,868m2。地上部は木造と鉄骨造、地下部は鉄骨造と鉄筋コンクリート造のハイブリッド構造となる。
木材使用量は約1,150m3で、すべて国産材。このうち約3割は東京都の多摩産材となっている。
柱と梁には、(株)シェルターが開発した耐火集成材「COOL WOOD」を使用し、原材料には福島・岩手県産のカラマツと栃木・群馬・埼玉県産のスギを用いている。
床には、三菱地所(株)や竹中工務店などが供給するスギCLTを採用しており、原材料のスギは、東京都と岡山・高知・熊本県で調達した。
外装にも防腐処理などを施した多摩産のスギ板を使い、木造ビルらしい外観となっている。

「木の中でお買い物をしていただく商業施設になる」
渋谷マルイの設計は、国際的設計組織の「Foster+Partners」(リードデザイナー)と(株)三菱地所設計(実施設計)、施工は、戸田建設(株)と住友林業(株)の共同企業体が担当している。
7月3日の現場見学会に駆けつけたFoster+Partnersシニアエグゼクティブパ-トナーのデビット・サマーフィールド氏は、渋谷マルイについて、「木造にしたことで含有炭素を50%削減でき、東京の木を使うことで輸送に伴う炭素排出も低減できている」とコメントした。
また、施主である丸井グループ社長の青井氏は、「一昨年に東京の森林を訪ね多摩産材を使いたいと申し出たら、製材所の方にすごく感謝された。木を伐って使わなければ、森林は守れない」と話し、「渋谷マルイは、お客様に木の中でお買い物をしていただくようになる。温かみがあり、ご満足いただける商業施設になると確信している」と強調した。
渋谷マルイを含む渋谷駅周辺は、大規模な再開発プロジェクトが進行中で、インバウンド(外国人観光客)も多く、人でごった返している。そこにできる世界初の大型木造商業施設は、国内外に大きな反響を巻き起こしそうだ。
(2026年7月3日取材)
(トップ画像=渋谷マルイの外装には多摩産のスギを使っている)
『林政ニュース』編集部
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