町長の“鶴の一声”でスタート、背景に災害多発と募る危機感
佐用町の面積は、兵庫県の約3.7%にあたる3万744ha。その約8割、2万4,861haが森林で、ほとんどが私有林となっている。
この私有林を対象にした町有林化事業は、庵逧典章町長の「手遅れになる前に町がやる」という“鶴の一声”で始まった。
同町は、これまで何度も台風災害に見舞われてきた。とくに、2009年の台風第9号に伴う豪雨では、死者・行方不明者20名、全・半壊家屋1,700戸以上という甚大な被害が発生。放置状態の私有林が被害を拡大させた一因とされ、町を挙げて森林整備と林業振興を図り、災害に強い森林づくりを進めることが重点課題になった。
だが、長引く材価低迷や所有者不明森林の拡大などで、私有林の手入れに加速度をつけることは現実的に難しい。「外国資本や町外企業などによる買収が進むと私有林の管理はもっと難しくなる」という危機感が庵逧町長の発した「手遅れになる」という言葉に込められている。
通常予算+譲与税で財源確保、土地と立木を評価して買い取り
佐用町の町有林化事業は、所有者が管理に困っている私有林を寄付または買い取りによって町が引き取るという仕組みだ。
『林政ニュース』編集部
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