【2026年4月1日付け林野庁人事異動解説】目玉は「森業振興室」の新設

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2026年4月1日付けで林野庁の人事異動が発令されました*1。その中で、注目される動きは何か? キーとなる人物は誰か? 「緑」と「風」が単刀直入に解説します。

北海道森林管理局長に宇野聡夫氏、人の動きが滞らないように思案続ける

新年度が幕を開け、4月1日付けで林野庁の人事異動が発令された。早速、恒例の人物評に入ろう。
国会開会中のため長官など首脳級に動きはなく、森林管理局長や本庁課長・室長などの顔ぶれが一部代わっただけ。総体的に地味な人事異動と言える。だが、その中でも目を引く発令があるのでピックアップしていこう。

宇野聡夫氏

北海道森林管理局長が交代した。関口高士氏(平成2年入庁・北大卒)が林政課林業・木材産業情報分析官として本庁に戻り、後任には森林研究・整備機構理事の宇野聡夫氏(平成3年・北大)が起用された。
関口氏は、昨年(2025年)4月に道局長になったばかり。それまでも慌ただしく異動してきた*2。新道局長の宇野氏は、関口氏と同じ北大出身であり、かつて知ったる地でじっくりと腰を据えて仕事をしてもらいたいところだ。ただ、林野技官の幹部層には「長」の名がつくポストに就くべき人材がまだまだ控えている。担当官は、人の動きを滞留させないことに日々頭を悩ませているのが実情だ。
なお、宇野氏の後任理事には、森林総合研究所総括審議役の川村竜哉氏(平成5年・農工大)が昇格。その後任には、前木材産業課長で林政部付として待機していた福田淳氏(平成6年・東大)が発令された。

研究指導課長に城氏、集積推進や特産、貿対室長などが交代

本庁の課長が動いたのは、研究指導課だけだった。松本純治氏(平成7年・京大)が在任1年で森林総合研究所審議役に異動し、後任として森林利用課森林集積推進室長の城風人氏(平成9年・東大)が課長席に座った。
城氏は、林野庁の中軸を担う技官として順当に課長に昇格した。17年前に研究保全課(当時)の森林吸収源対策専門官として勤務して以来の職場で、今度は全体の指揮を執る。広島県出身で、私立の名門・広島学院から東大に進んだ俊才。学生時代から夏山登山を続けており、日本百名山の制覇まで「あと5つくらいです」と事も無げに話す。奥さんと息子さん3人の5人家族。51歳。

城風人氏

城氏からバトンを受けて森林集積推進室長に就任した三間知也氏(平成13年・東大)も将来を嘱望される林野技官だ。人柄はのほほんとしているが、上司は「思い切ったことができる」と評価する。城氏とともに森林経営管理制度の立ち上げで手腕を発揮しており、適任のポストに就いた。

このほか室長クラスの異動では、経営企画課国有林野総合利用推進室長の金谷範導氏(平成4年・農工大院)が関東森林管理局森林整備部長に移り、後任は林業労働・経営対策室長の谷本哲朗氏(平成6年・農工大)。その後任には、大臣官房政策課調査官として森林・林業基本計画検討室のヘッド(タコ長)を担っている吉川正純氏(平成17年・京大院)が発令された。
また、経営課特用林産対策室長の竹内学氏(平成8年・農工大院)が同課付となり、後任には木材産業課上席木材専門官の鈴木清史氏(平成12年・筑波大院)を起用。竹内氏は、次の発令まで基本計画の仕上げ(閣議決定等)作業などをサポートするという。

木材利用課の木材貿易対策室長も交代した。高畑啓一氏(平成8年・東大院)が海外派遣含みで計画課付となり、森林利用課森林吸収源情報管理官の川口大二氏(平成9年・ワシントン大院)が同ポストを引き継いだ。川口氏は、都立御三家の1つである国立高校を卒業後、渡米して学業に励み、林野庁に入ってからも海外畑でキャリアを重ねてきた。これまた適任だ。58歳。

新設の森業振興室長に鈴木憲一氏を起用、久々の女性室長も登場

さて、今回の淡々とした人事異動の中で、本庁首脳が「これは目玉です」と語調を強める発令がある。それは、森林利用課に「森業振興室」を新設し、室長に治山課保安林・盛土対策室長の鈴木憲一氏(平成9年・北大)を起用したことだ。
「森業」は、昨年(2025年)5月に滝波宏文・農林水産副大臣(当時)が主導して打ち出した新たな森林活用のコンセプト(第751号参照)。森林サービス産業や企業の森林づくり活動、J-クレジット取引などを活性化することを狙っているが「中身をつくり上げるのはこれから」(本庁首脳)という段階。その任務を鈴木氏が担う。鈴木氏は飄々としたキャラクターでありながら、周囲からは「大胆な仕事をする」と一目置かれている。奥さんは元林野庁職員の(旧姓)楠田晃巳さん。
なお、鈴木氏の後を受けて保安林・盛土対策室長に就いたのは、林政課監査官で木材利用課に席を置き、木質バイオマス利用を担当していた齋藤綾氏(平成16年・東大院)。久々の女性室長になる。

鈴木憲一氏

滋賀県に長谷川氏、広島県に宮前氏、熊本県に”野球小僧”の田ノ上氏

最後に、自治体との交流人事を追っておこう。滋賀・広島・熊本の3県で出向者が交代した。
滋賀県は、森林政策課長の水野梓氏(平成18年・宇都宮大)が経営課の総括課長補佐として本庁に戻り、木材利用課課長補佐(木造公共建築物促進班担当)の長谷川学氏(平成22年・東大院)がびわ湖材流通推進課長として滋賀県庁で勤務についた。
長谷川氏は、一見優男風だが、学生時代はバックパッカーとして世界各地を放浪した経歴を持つ。林野庁に入ってからの出張も含めると「30か国以上は行きました」というから凄い。国際派の人材だが、近畿中国森林管理局にも勤務しており、「滋賀県は深い歴史があるところ。とても楽しみ」と話している。東京都西東京市出身。40歳。

長谷川学氏

広島県の林業振興担当部長・川崎耕作氏(平成16年・静岡大院)が本庁の治山課総括課長補佐となり、入れ替わりに治山課課長補佐(企画班担当)の宮前崇氏(平成17年・高知大)が同県の林業課長に就いた。
宮前氏は、東京都練馬区出身で、都立大泉高校までは都心で過ごした。だが、幼少期から山や自然に親しんできたこともあり、大学から東京を離れ、林野庁に入った。趣味は登山、ロードサイクリング、山スキー、シーカヤックと幅広い。木材を使う競技・クッブのジャパン・オープン2025*3には親子で参加して優勝に貢献した。お酒は飲めないが「コミュニケーションはどんどん図りたい」と言う。46歳。

宮前崇氏

熊本県森林局長の宮脇慈氏(平成16年・名古屋大院)が本庁の枢要ポストである計画課総括課長補佐にダイレクト復帰し、整備課課長補佐(造林間伐企画班担当)の田ノ上真司氏(平成19年・農工大)が同県森林整備課長に出た。
田ノ上氏は、父方の祖父の実家が宮崎県都城市の山田町にあり、九州には土地勘がある。平成28年から30年まで鳥取県庁に出向した経験もある。浅黒く精悍な顔つきをしており、小・中・高・大学を通じて野球部に所属し、ピッチャーやショートで活躍した。実兄は四国アイランドリーグに在籍していたことがあり、3人のお子さん(娘2人・息子1人)も野球をやっている。“野球小僧”を地で行く田ノ上氏のモットーは、言わずもがな「全力投球」だ。声出していこう!

田ノ上真司氏

(2026年3月31日・4月1日取材)

詠み人知らず

どこの誰かは知らないけれど…聞けないことまで聞いてくる。一体あんたら何者か? いいえ、名乗るほどの者じゃあございません。どうか探さないでおくんなさい。

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