(前編)解説・2022度林野庁予算要求 公共の焦点は「5か年加速化対策」の確保【緑風対談】

全国 予算・事業

8月末に2022度林野庁予算要求の全容が明らかになりました。その中で注目すべき点は何か? 「緑」と「風」が前編と後編の2回に分けて解きほぐします。

予算増のカギ握る“別枠”、議連総会で決議し財務省に要望

林野庁の来年度(2022(令和4)年度)予算概算要求が明らかになった*1。要求総額は3,461億8,500万円、対前年度比では14.1%増となっている。
参考までに、昨年はコロナ禍で9月末となった2021(令和3)年度林野予算の要求額は3,482億8,400万円、同15.9%増だった。それよりは若干抑え目の金額だが、今の予算編成の枠組みの中で目一杯の要求をしたことに変わりはない。

これから年末に向けて厳しい予算査定が行われるのであり、ここで要求額の多寡を云々しても大して意味はなかろう。早速、中身の解説に入る。
まず林野予算の中心をなす一般公共事業だ。森林整備と治山の両事業ともに同18.4%増で要求した。農業農村整備(NN)や水産基盤整備も全く同じ伸び率となっている。
公共予算は、事業別のシェアががっちりと固まっており、横並びの要求はいつものこと。ここから年末にかけて金額が削り込まれていく。2021年度予算の場合は、森林整備・治山事業ともに2.1%増にまで圧縮された。

当初予算の大幅な伸びが見込めない中で、今回も焦点となるのは、別枠扱いとなっている国土強靱化5か年加速化対策による事業費の確保だ。
このことを踏まえ、自民党の森林整備・治山事業促進議員連盟(山口俊一会長)は、8月26日に衆議院第2議員会館で総会を開催した。代理を含めて約70名の国会議員が出席し、関係団体とともに「令和4年度林野公共事業予算に関する決議」を採択。その後、山口会長らが財務省の茶谷栄治主計局長を訪ね、決議文を直接手渡して実現を要望した。

森林整備・治山事業促進議員連盟の総会はリモート参加も併用して行った(8月26日)

当初予算にも「ゼロ国債」、年度初めの事業量落ち込み防ぐ

決議文のポイントは、5か年加速化対策について、「令和4年度以降も所要の予算を別枠で確実に確保する」と求めている点。ちなみに、同対策の第1弾は、2020年度第3次補正予算に計上された799億円。これが林野公共予算の大きな押し上げ要因になったことは記憶に新しい。

ところで、決議文にはもう1つ、見逃せないフレーズがある。それは、「林野公共事業の施工条件等の特性を踏まえた円滑な発注及び施工体制の確保に向けた取組を推進すること」という件(くだり)。
林野庁は来年度から公共事業の当初予算にも「ゼロ国債」制度を導入することにしている。今は補正予算でしか認められていないゼロ国債が当初予算でも計上できるようになると、計画的な前倒し発注などが可能になり、年度当初の事業量の落ち込みなどを防ぐことができる。事業量の平準化は施工業者らがかねてから望んでいたことであり、林野庁幹部も「これは目玉です」と強調する見直し事項である。

老朽化橋梁を撤去、流域治水と連携、海岸林整備を全国で

続いて、個別の要求事項で目のつくものをピックアップしていこう。
森林整備事業では、新しい森林・林業基本計画を踏まえて、再造林の省力化・低コスト化に一段と力を入れる。植栽本数や下刈り回数を減らす取り組みなどへの支援を強化することにしている。
路網の整備もテコ入れし、林道の強靱化も図る。とくに、老朽化した橋梁等については、林道の改良等と併せた撤去も新たに支援対象に加える。

治山事業では、国土交通省の流域治水プロジェクトと連携した治山対策のメニューを創設し、異常な豪雨災害などへの対応力を高める。流木対策も国交省とともに強化する方針だ。
また、東日本大震災からの復興で得られた成果を活かし、津波に強い海岸林の整備を全国展開する。下刈りなど保育管理に要する経費への補助率を3分の1から2分の1に引き上げて、各地の取り組みを後押ししていくことにしている。
後編では、非公共事業の予算要求の中から目玉事項を解説していこう。

(2021年8月31日取材)

詠み人知らず

どこの誰かは知らないけれど…聞けないことまで聞いてくる。一体あんたら何者か? いいえ、名乗るほどの者じゃあございません。どうか探さないでおくんなさい。

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