市町村に林務関係の専門部署が全くない千葉県で、今年(2021年)3月に発足した県森林経営管理協議会が森林環境譲与税に関する“相談窓口”の役割を全県レベルで担っている。
同県には54の市町村があるが、森林・林業の専門職を置いているところは1つもなく、農業職や産業職などが兼務している。県独自の森林環境税もないため、2019年度から交付が始まった森林環境譲与税の“受け皿”づくりが難しく、同県に交付された譲与税の約8割が基金に積み立てられるなど、手探りの状態が続いている。
こうした状況を踏まえて設立された同協議会は、譲与税の活用方法や森林整備の進め方などを中心に幅広く情報を収集し会員に提供しているほか、相談・指導業務などを行っており、今後は研修事業なども実施していく計画。現在の会員数は36市町で、会長は松下浩明・山武市長、事務局は県森林組合連合会がつとめ、県が顧問として運営に協力している。
県の担当者は、「当県にはベースとなる仕組みがなく、森林環境譲与税をどう有効利用すればいいか検討を続けている。協議会で譲与税の使い方を整理し、軌道に乗せていきたい」と話している。
被害木のC材搬出がメイン、林地開発が激しく森林面積は減少
森林環境譲与税に関する全県単位の協議会立ち上げは全国的にみても珍しい。その背景には、林業県ではない千葉県ならではの事情がある。
同県はC材の搬出割合と林地開発が他県と比べて多く、国(林野庁)が描くグリーン成長路線に乗りづらい実態がある。
同県の昨年度(2020年度)の原木生産量は約6万m3。その多くが令和元年度台風と溝腐れ病の被害木でC材に仕分けされ、主にバイオマス発電所に販売されている。建築用材などに使われるA・B材の供給量は限られており、木造・木質化事業を進めようとしても、県産材だけでは賄いきれず、県外産材や外材に頼らざるを得ない。
また、同県の林地(山)は、県北の緩斜面か県南の急斜面に分かれている傾向にあり、県南地帯は林業を行うには厳しく、県北地帯は林地開発との競合が激しくなっている。
統計データによると、バブル崩壊前はゴルフ場造成で、崩壊後は残土埋立地として林地開発が進み、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)が施行された2012年以降は太陽光発電用施設の林地開発が目立っている。太陽光発電を含む工場・事業用地の造成件数は2019年だけで26件に上り、281haの林地が開発された。現在も開発圧力が続いており、同県の森林面積は減少傾向にある。
(2021年9月30日取材)
(トップ画像=千葉県の林地開発件数の推移)
『林政ニュース』編集部
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