ブラジルのベレンで11月に開催された国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)と関連会合・イベントを通じて、森林・木材を持続的に利用することの重要性を確認する合意文書などが相次いで交わされた。
COP30は11月10日から22日まで初めてブラジルで行われ、約200か国が参加した。最終日に採択された「グローバル・ムチラオ決定」には、2030年までに森林の減少・劣化を停止し好転させることなどを重点課題として盛り込んだ。
また、COP30に先立って11月6日に開催されたベレン気候サミット(首脳級会合)では、熱帯林保護基金「トロピカル・フォレスト・フォーエバー・ファシリティ(Tropical Forests Forever Facility:TFFF)」を新設し、125億ドル(約1兆9,700億円)の資金造成を目指すことで合意したほか、山火事リスクの軽減に各国が協力する「統合的火災管理及び山火事レジリエンスに関する行動要請」の文書を採択した。
さらに、11月10日には、森林・気候のリーダーズ・パートナーシップ(Forest & Climate Leaders’ Partnership:FCLP)の会合も開かれ、「責任ある木造建築の原則(Principles for Responsible Timber Construction)」に日本を含む15か国が賛同し(11月19日時点)、既存建築物の長寿命化や木材の持つ炭素貯蔵ポテンシャルの最大化などに取り組むことを確認した。FCLPは、2021年のCOP26で発表された「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」をフォローアップするために活動しており*1、*2、今後も国境を超えて木材利用の“輪”を広げていくことにしている。
谷村栄二・林野庁次長が日本の取り組みを世界に向けて“発信”
日本政府は、COP30に合わせてジャパン・パビリオンを設置し、各種の会合にも積極的に顔を出して温暖化防止に努めていることをアピールした。林野庁からは、次長の谷村栄二氏ら5名がブラジルに入った。次長のCOP参加は、2018年のCOP24以来となった。

谷村次長は、国連森林フォーラム(UNFF)が設置したフォレスト・パビリオンのグランドオープニングに登壇したほか、4件のセミナーなどでもスピーチを行って、持続可能な森林経営と木材利用に関する日本の取り組みを世界に伝えた。
谷村栄二・林野庁次長の話「日本がこれまで取り組んできたことが『責任ある木造建築の原則』などに反映された。今後も世界の森林政策をリードしていけるようにしたい」

(2021年12月1日取材)
(トップ画像=開会にあたって演説するブラジルのルラ大統領、画像提供:林野庁)
『林政ニュース』編集部
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