木材チップをトレファクション処理して高性能の木質ペレットを製造する国内初の実証プラントが神奈川県伊勢原市の三洋機械工業(株)内に完成した。
トレファクションとは「焙煎」の意味で、木材チップに熱をかけ半炭化状態にすると、発熱量が向上し耐水性が高まる。木質ペレットは、化石燃料と比べてカロリーが低く、水に浸すと崩れやすいという欠点を抱えているが、これを克服する新技術として実用化が期待されている。
完成したプラントは、トレファクション処理を行う炭化炉と処理されたチップの粉砕機、ペレタイザーで構成。300℃前後での熱処理とペレット製造を連続的に行うことができ、1時間当たり20kgのチップを「トレファクション化」できる。熱処理過程での排熱を利用できるので、乾燥装置は不要になる。

同プラントは、林野庁の木質バイオマス加工・利用システム開発事業(平成25~27年度)を活用して設置されたもので、森林総合研究所と(株)アクトリー、三洋貿易(株)が事業実施主体になっている。
2014年12月17日に、関係者向けの見学会が行われ、ドイツバイオマス研究センターのウォルカー・レンツ博士も出席して、「(日本側との)共同研究を進めていきたい」と述べた。
同プラントは、来年度(平成27年度)から試験稼働に入り、製造される木質ペレットの性能やコスト競争力、炭化炉の生産性などを検証していく方針。高性能木質ペレットの用途としては、園芸施設などでの熱源や火力発電所での石炭との混焼などが想定されている。
森林総合研究所・吉田貴紘氏の話「(トレファクション化による)コストアップを吸収できる仕組みを考えていくことが重要になる」
(2014年12月17日取材)
『林政ニュース』編集部
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