北海道旭川市で製材工場を運営している(株)斉藤工業所(齋藤行永社長)の創業は1949年。以前は米材やロシア材を挽いていたが、現在は道産のトドマツやエゾマツなどの針葉樹大径材を主体に製材している。年間約5,000m3の原木を消費し、柱や梁、板材などの建築用材全般を生産。顧客は地場の工務店がほとんどで、幅広いサイズのオーダーに応えるため、板材を耳付きのまま乾燥させるなど、臨機応変な加工体制を整えている。
大径材を活用し多様な注文に対応、トドマツへの誤解を解く
同社専務取締役の斉藤光久氏(62歳)は、「トドマツにまつわって2つの誤解がある。1つは強度が弱く建築用材に使いづらい、もう1つは大径化して扱いづらいということだ」と言う。
年輪幅が同様の場合、トドマツとスギ芯持ち材の強度を比較すると、トドマツが劣るのは確かだが、芯去り材では強度の違いはほぼないことが道林産試験場の研究で確認されている。また、同社には昔ながらの台車製材機があり、大径材の加工にも柔軟に対応できる。2つの誤解は、小径木活用を推進している業者の課題が、トドマツ全体の話に拡大解釈されている面がある。
斉藤氏は道木材産業協同組合連合会(札幌市、松原正和会長)の針葉樹対策委員会の委員長もつとめており、「大型工場の進出や道外からの引き合いが強くなり、原木の集荷競争が激しくなっている」と指摘する。その上で今後に向けては、「弊社のような細かな注文に対応する製材所は、北海道の木を使うときに必ず重要になってくる。大型工場などとも共存共栄できる」と見通している。
(トップ画像=エゾマツ(写真奥)・トドマツ(同手前)の大径材が土場に並ぶ)
『林政ニュース』編集部
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