2022年初頭の木材市況は、まだら模様の展開となっている。ウッドショックをもたらした外材製品は在庫が積み上がる一方、合板の不足は依然として解消されていない。工務店段階では、住設機器が入手できずに着工が進まないという実態もあり、木材以外の要因で需要が伸びない局面も出てきている。
首都圏への外材製品供給基地である「東京木材埠頭(15号地)」では、昨年末に米材、欧州材がまとまって入荷した。遅れていたバルク船や中国等の港に滞留していたコンテナが次々と到着。今後の入荷見通しも立っており、関係者からは、「在庫は十分」、「もう溢れ気味」との声も出ている。
林野庁が1月28日に開催した中央需給連絡協議会でも、「外材製品価格はピークがすぎ、今後の輸入量確保も見込める」との見方が示された。
一方、合板は国内の各メーカーがフル生産を続けているものの、人手不足や働き方改革の影響などもあってこれ以上の増産シフトは難しい状況だ。東北地区からは、「合板用原木の在庫は約0.3か月分とかなりタイト」という報告も届いており、流通段階では入荷即出荷と余裕がなくなっている。
国内各地の原木価格は、昨年来の高値が維持されているものの、「先行きは不透明であり、山林所有者まで恩恵が行き渡っていない」(近畿中国地区)という指摘が出ている。
外材製品に取って代わって国産材製品がシェアを拡大する好機が訪れているが、「増産するには乾燥がボトルネック」(関東地区)となっている。山元への利益還元、再造林の担保、外国人材を含めた労働力の確保など、積年の課題が改めて突き付けられる構図となっている。
(2022年1月28日取材)
『林政ニュース』編集部
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