地面の下での木材利用拡大を目指す「一般社団法人日本木材地中活用推進協会」(略称「木地協」)の設立記念会が9月3日に東京都の台東区民会館で行われた。
「木地協」は、「地中での木材活用の拡大を推進すること」を設立目的に掲げ、液状化対策や軟弱地盤対策に木材を活用する工法の普及を通じて、「気候変動適応策と気候変動緩和策の両方に貢献する」ことを目指す。
今年(2025年)2月26日に一般社団法人の登記を行い、事務所の開設など体制整備を進め、活動を本格化する段階に入ったことから設立記念会を開き、行政やメディア関係者など約50人が出席した。
軟弱地盤対策などに木材を使い温暖化防止など目指す
「木地協」の会長には公益財団法人国際緑化推進センター専務理事の高原繁氏、代表理事にはソイルウッド代表の沼田淳紀氏が就き、林業・木材・土木関係企業に加えて大学教授など学識者も会員に加わった。来年(2026年)1月27日(火)には、東京都新宿区の土木学会講堂で木材の地中活用に関するシンポジウムを開催することにしている。

CCUSやCO2吸収コンクリートなど新技術の台頭に危機感
木材を「木杭」などとして地中で利用することは古くから行われてきた。これに加えて現在は、木材の持つ二酸化炭素(CO2)の吸収・固定機能を地中でも発揮させて地球温暖化防止につなげることが期待されている。
12年前の2013年3月25日には、土木学会、日本森林学会、日本木材学会が共同で「土木分野における木材利用の拡大に向けて」と題する提言を発表し、地中利用などによって土木分野における木材利用量を2020年までに400万m3へ増大させるという目標を打ち出した*1。
当時は軟弱地盤対策プラス温暖化対策として、木材を地中に打ち込む工法が注目され、現地検討会なども繰り返し行われたが、コスト競争力などがネックとなって普及にいま一つ勢いがつかず、近年は伸び悩みの状態となっていた。
そうした中で「木地協」が発足した背景には、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留)やCO2吸収コンクリートなどの木材を使わない新しい技術が台頭してきたことがある。高原会長は、「木材の地中利用による効果は、CCUSなどと比較しても決して劣ることなく、むしろ優れている」*2と強調しており、科学的なデータをもとに、木材の地中利用を推進する母体として活動していくことにしている。
(2025年9月3日取材)
『林政ニュース』編集部
1994年の創刊から31年目に突入! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。