基金理事の宮澤俊輔氏は「次がある」、中部局長に「男・吉村」起用
林野庁は、10月1日付けで人事異動を発令した。早速、目立つ人物の寸評に入ろう。
(独)農林漁業信用基金理事の池田直弥氏(昭和60年入庁・農工大(修)林卒)が本庁に戻った(職名は大臣官房政策課政策情報分析官兼林野庁木材利用課)。代わって、中部森林管理局長の宮澤俊輔氏(昭63年・東大林)が同ポスト(基金理事)に就いた。
九州森林管理局長などをつとめた池田氏は、一昨年10月に基金に出向し、2年の任期を滞りなく全うして、予定どおり本庁に復帰。後任の宮澤氏は、池田氏より3年次下であり、昨年1月に52歳で中部局長に起用されたときも“抜群に若い”と話題になった。切れ味鋭い宮澤氏は、中部局長としてもデザインコンペなど新機軸を相次いで打ち出した。基金理事の任期は2年だが、年齢からいっても「当然、次がある」(林野庁首脳)。基金のトップ(理事長)は元林野庁長官の今井敏氏であり旧知の仲。まずは新天地での宮澤カラー発揮に刮目したい。

新・中部局長には、宮澤氏と同期組の吉村洋氏(昭63年・京都府大砂防)が起用された。国有林野部の業務課長→経営企画課長とメインルートを歩んでおり、順当な局長就任。高校、大学とバレーボール部で鍛えた吉村氏は、肩幅の広い体育会系の人物。義理人情に厚く、言動は明確。周囲は「男・吉村」と慕う。今も毎週土曜日の朝2時間は自宅での筋トレを欠かさないという。55歳。

事務官局長動く、近畿中国に長田氏、四国に石垣氏が」就任
事務官の指定席である近畿中国森林管理局長と四国森林管理局長に動きがあった。一昨年10月から近畿中国局長をつとめてきた高野浩文氏(昭60年・東大法)が本省の大臣官房政策課政策情報分析官(兼農林水産技術会議事務局研究推進課付)に戻り、後任として東北農政局次長の長田朋二氏(昭60年・東大法)が大阪入りした。
長田氏は、林野庁勤務も大阪勤務も初めて。杉並区出身で、都立富士高校から東大に進んだ“東京人”であり、フレッシュな気持ちで新任務に就いた。趣味は旅行で、「東北の観光地は全部回りました」とサラリと言う。オーケストラのトロンボーン奏者として20年以上のキャリアも持つ。なかなかの趣味人だ。59歳。

四国森林管理局長の野津山喜晴氏(昭62年・東北大(修)経)が農畜産業振興機構理事に移り、入れ替わりに同機構理事の石垣英司氏(平成元年・東大経)が四国局長に着任した。
石垣氏は、平成14年9月から16年3月まで林野庁の管理課総括、その後も17年7月まで林政課総括を経験しているが、初の四国勤務であり、「一から勉強します」と話す。趣味はウォーキングで休日に10~30kmも歩く。都心の早稲田から郊外の八王子まで歩いたこともある健脚の持ち主。三重県のいなべ市出身で、県立桑名高校卒。55歳。

経営企画課長に関口氏、業務課長に宇野氏、石田氏を要職の調査官に登用
次に、本庁課長などの動きをみる。吉村氏の後任として経営企画課長には、業務課長の関口高士氏(平2年・北大林)がスライド就任した。昨年7月に同期組のトップを切って本庁課長に進出し、早くも2つ目の課長だ。今度は人事の調整など傍からは窺い知れない難事もこなさなければならない。飄々と職務に勤しんできた好漢・関口氏にとっては、真価が問われるポストにもなろう。
新・業務課長に就いたのは、同課技術開発調査官の宇野聡夫氏(平3年・北大林)。堅実・実直な人柄で、同僚らは「怒ったところを見たことがない」と口を揃える。ただ課長ともなると、部下を統率するリーダーシップが必要であり、一皮むける好機にもなる。鉄道マニアで、とくに国労(JR・国鉄の前身)に詳しい。そのためかプロ野球はスワローズファンだ(かつては国鉄スワローズだった)。

宇野氏の後任として業務課技術開発調査官に起用された石田良行氏(平5年・宇都宮大林、大臣官房政策課調査官兼林野庁計画課)も適任の評が高い。国有林野部に席を置くのは特別会計廃止のタコ部屋に詰めて以来となる。人当たりは柔和だが、激務に耐える芯の強さも併せ持つ。「人好きする」キャラクターで、出向した宮崎県などからは、いまでも何かと報告や相談があるという。

北海道森林管理局次長の堂本整氏(昭57年・日大)が退職し、次のような異動があった。
北海道森林管理局次長←北海道森林管理局総務企画部長・中西誠(昭62年・岩手大林)←管理課福利厚生室長・川脇多久男(昭60年・高知大)←東北森林管理局総務企画部長・門田成生(昭61年・愛媛大(修))←林政課管理官・原嶋広行(昭61年・日大)
この中でとくに目を引くのは、中級(Ⅱ種)組のエース格と目される川脇氏の北海道局部長への進出。すでに四国局でも部長を経験しており、本庁の室長もこなして着実にステップアップしてきた。北海道勤務は初めてだが、物おじしない性格であり、歯に衣着せぬ言動が持ち味だ。北の大地に新風をもたらすだろう。

(2025年9月30日・10月1日取材)
詠み人知らず
どこの誰かは知らないけれど…聞けないことまで聞いてくる。一体あんたら何者か? いいえ、名乗るほどの者じゃあございません。どうか探さないでおくんなさい。