| 事業者名 | 卓洋運輸有限会社及び卓洋グループ |
| 代表者名 | 兒玉基治・代表取締役 |
| 本社所在地 | 宮崎県日向市大字日知屋3379番地25 |
| 創業年 | 1999年 |
| 業種・アンケート種類 | 運送事業者(NO.4) |
| 年間原木輸送量 | 約300,000m³ |
| 輸送手段 | 陸送 |
| 保有トラック台数 | グラップル付きフルトレーラー・14台、グラップル付き単車・1台 |
| ドライバー人数 | 16名(専任) |
| ヒアリング対応者 | 川原拓二・営業担当 |
目次
7.1.4.1. フルトレーラーに切り替えて1人・1日あたり120 m³以上を輸送
同社は、「働き方改革関連法」が施行された2019年から、トラックの大型化を進めてきている。具体的には、10t車を順次フルトレーラーに切り替えている。

出典:日向市にて調査チームが撮影(2025年1月)
10t車1台の積載量は17 m³であるのに対し、フルトレーラー1台の積載量は30 m³であり、2倍近い差がある。1台当たりの積載量が増えれば、輸送効率や費用対効果が高まる。
同社では、フルトレーラーを1日に最低4回、多いときには6回のペースで稼働させている。同社には、14名のドライバーが在籍しており、1人・1日当たりの平均輸送量は120 m³以上に達しており、月22日稼働で年間約40万m³を輸送している。各ドライバーは、運転技術だけでなく、積み込み・荷降ろしの技術も高く、担当者によると1台30~40分程度で終わるという。
7.1.4.2. 研修支援や待遇改善などを図って若手ドライバーを継続採用
ドライバー等の就労環境改善に関しては、研修等の支援と福利厚生の充実を中心にして取り組んでいる。
同社に入社したドライバー等は、宮崎県トラック協会内にある(独)自動車事故対策センターにおける初任者研修を必ず受講している。1週目は、座学と車両運転などを学び、2週目からは実務研修を行っている。そして、試用期間が終了した3か月目からは、1人でも実務ができるようにサポートしている。資格所得支援制度も設けており、運転免許や資格がなくても同社に入社できる。
同社は、かつては週6日勤務制をとっていたが、深夜労働時間の短縮化や第2・4土曜日の休日化などを経て、完全週休2日制に移行した。平均残業時間は月40時間以内に抑えている。全社員が雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金などに加入しており、月給は残業代込みで30万円からとしている。
同社で働くキャリアイメージや就業環境などについて、インターネット等を通じてわかりやすく発信しており、県内だけではなく県外からもU・Iターン者を含めた若手ドライバーを継続的に採用できている。
7.1.4.3. 車両メンテナンスの迅速化や情報のデジタル化などを推進
同社のグループ会社には、車両の整備を担う有限会社卓洋と、木材チップ運送の株式会社トランスポートTakuyoがある。
このうち卓洋は、トラックの整備、修理だけでなく、グラップルの装着などの架装作業も行っており、車両メンテナンスの迅速化とコスト削減に努めている。また、他社の車両のメンテナンスなども引き受けて、収益性を高めている。
グループ全体では、デジタルタコグラフ(デジタコ)を、県内の同業他社だけではなく、タクシー会社などよりも早く導入した。ドライブレコーダー連動のデジタコを配備することにより、常に車両の位置や走行状態を把握している。

出典:日向市にて調査チームが撮影(2025年1月)
デジタコを活用した情報の共有化によって、ドライバーの休憩時間の管理や運行ルートの最適化がスムーズに行えるようになっている。運行管理者は、本社事務所のパソコンから各車両の位置と状態をモニタリングでき、長時間の停車を確認した際には電話で状況を確認するなど、きめ細かな対応が可能になっている。ドライバー同士で異なる運行ルートの所要時間を比較し、より効率的なルートを選択することなども行われている。
運転日報のデジタル化も進めており、どの現場でどれだけの原木を積んだか、移動距離、作業時間などを正確に記録することで、配車計画の最適化や労務管理の効率化に役立てている。 同社グループは、2022年にホームページを刷新し、「卓洋グループで働くということは、“日本一の木材運送を目指す”ということ」と宣言した。この目標を達成すべく、今後も先進技術を活用した原木輸送の効率化などに取り組んでいくことにしている。
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(株)日本林業調査会
1954年創業。「林政ニュース」の編集・運営・発行をはじめ、森と木と人にかかわる専門書籍の発刊を行っている。