日本木質バイオマスエネルギー協会が一般社団法人化10周年記念行事を開く

日本木質バイオマスエネルギー協会(酒井秀夫会長)は、6月30日に東京都内で定時総会と一般社団法人化10周年記念行事を開催した。

専務理事に井口真輝氏(前中部森林管理局次長)が就任

総会では所定の議案を原案どおり承認し、今年度(2025年度)はFIT/FIP制度の適切な運用や燃料材供給の低コスト化などに取り組んでいくこととした。

役員の改選も行い、酒井会長と副会長の中島浩一郎氏(銘建工業(株)社長)、矢部三男氏(前アジア航測総括技師長、元東北森林管理局長)を再任したほか、新たに専務理事として井口真輝氏(前中部森林管理局次長)を選任した。

同協会は、2012年7月に木質バイオマスエネルギー利用促進協議会(初代会長は筑波大学名誉教授の熊崎実氏)として発足し、2015年5月に同協議会を解散した上で、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会として新たな歩みを始めた。発足時の会員数は60だったが、現在は345にまで増えている(協賛会員を含む)。

挨拶をする酒井会長

10周年記念行事で挨拶した酒井会長は、「日本における木質バイオマスエネルギーの利用促進で支柱の1本になってきた」との自負を示した上で、「当協会の活動に対する社会的要請は益々高まっていく」と語った。

講演をする末松氏

また、東京農業大学特命教授で農林水産事務次官などを歴任してきた末松広行氏が特別講演を行い、森林と脱炭素化との関係などについて解説した。

末松氏は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が創設されたときに林野庁林政部長として木質バイオマスが同制度の対象となるように尽力した。当初は「FITによるバイオマス利用は山荒らしにつながる」などの批判も受けたが、未利用木材の需要先ができたことで材価の下支え的な役割を果たすようになっている。末松氏は、この点を再確認した上で、今後の課題として、FIT後を睨んだFIPの活用や熱利用の促進、改質リグニンなど新素材の実用化などをあげた。

(2025年6月30日取材)

『林政ニュース』編集部

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