木質系チップと廃菌床、RPFの混合燃料を使用
4月24日に「パワーエイド三重シン・バイオマス®松阪発電所」の竣工式を行い、環境大臣をつとめた原田義昭・元衆議院議員や竹上真人・松阪市長、田中善彦・ウッドピア松阪協同組合理事長ら約110名が出席した。

同発電所の名称にある「シン・バイオマス」とは、BPTが提唱する新たなコンセプトで、木質系副産物とプラスチック系資源をハイブリッド燃料として利用し、環境にやさしいグリーン電力を供給する循環モデルを意味する。
同発電所では、木質系チップに加え、三重県多気町にあるホクト三重きのこセンターから排出される廃菌床と、中部圏の事業者から供給される古紙及び廃プラスチック類を原料とした固形燃料(RPF)を燃料に用いる。発電した電気は、同センターが全量を使用する。


発電規模は1,990kWで、年間の燃料使用量は2万8,000tを見込んでおり、内訳は、廃菌床が1万6,000t、木質系チップが8,000t、RPFが4,000tとしている。
国民負担に依存せず柔軟な運営で“卒FIT”のモデルを目指す
「パワーエイド三重シン・バイオマス®松阪発電所」の建設は、ホクトがこれまで廃棄物として処理していた廃菌床 をエネルギー利用することをきっかけにスタートした。廃菌床 などの事業系一般廃棄物を含む廃棄物の処理費用は年々増加傾向にあり、経営面での課題になることが想定される。廃菌床を発電用燃料として使用できれば、資源の有効利用や脱炭素化に寄与できる。
ただし、廃菌床の含水率は60%程度と木質系チップより高く、発電所の安定稼働にはエネルギー効率を高める必要があるため、RPFを混合して利用することにした。職務執行者の西川弘純氏は、「試運転段階から検証を重ねており、混焼で問題なく稼働できている」と言う。
2012年に木質バイオマス発電所がFITの対象になってから10年以上が経過し、固定価格での買取期間(20年間)が終了した後の運営が全国的な課題になってきている。西川氏は、「NON-FIT型の発電所は、国民負担に依存せず、使用燃料や売電価格の自由度を高めて柔軟な運営ができる。“卒FIT”のモデルを目指したい」と話している。
(2025年4月26日取材)
(トップ画像=パワーエイド三重シン・バイオマス®松阪発電所の外観)

『林政ニュース』編集部
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