秋田県の鹿角市長をつとめてきた元中部森林管理局長の関厚氏(71歳)が4月27日に投開票された同市長選挙で落選した。関氏は、市職員に対するパワハラ問題で市議会から2度の不信任決議を突きつけられて失職。起死回生を期して、出直し市長選に挑んだが、元市議の笹本真司氏(39歳)が5,268票を獲得して初当選を果たし、4,746票の関氏は次点に終わった。投票率は58.41%(前回は63.13%)だった。
同市では、元市長の児玉一氏が在任中の官製談合防止法違反容疑などで2022年4月に逮捕され、同年7月に秋田地方裁判所が懲役3年、執行猶予4年の判決を下し、翌8月に有罪が確定した経緯がある。
関氏は、市政の刷新などを掲げて2021年6月の市長選に出馬して9,257票を得て勝利し*1、公約である地場産業の振興などに取り組んできた。
だが一方で、元市長の汚職の原因となった道の駅の改革などを巡って議会側との対立が続く中で、市職員への威圧的言動が問題化した。事態の鎮静化に向けて市が設置した第三者調査委員会(委員長=山口謙治・大館山口法律事務所、弁護士)は、市職員への無記名アンケートなどを行った上で、関氏が発した暴言など12件をパワハラに認定する報告書を今年(2025年)1月に公表した。
同報告書によると、関氏は、机を叩きながら職員を叱責したほか、「霞が関(国)では誰かが責任を感じてJRに飛び込んだりビルの上から飛び降りたりする」など過激な発言があったとされ、全国的にも注目を集めた。
同報告書を踏まえて、市議会は関氏の市長不信任決議案を賛成多数で可決。これに対して、関市長は2月に市議会解散を選び、3月に市議会選挙を実施したが、新勢力となった市議会も再び市長不信任決議案を賛成多数で可決し、地方自治法の規定により関氏は市長を自動失職した。
なお、関氏は、林野庁の職員時代もエキセントリックな言動で周囲を驚かせることがあったが、業務面では独自の突破力を活かして実績を出していた。
(2025年4月27日取材)
『林政ニュース』編集部
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