高知県の本山町(澤田和廣町長)は、「土佐本山コンパクトフォレスト構想~日本最狭&最強の拓かれた森に包まれて~」を策定し、4月21日に公表した。同構想の策定委員会には、商工会や観光業界、高校生など林業界以外のメンバーも参画し、幅広い世代や“まちづくり”の視点を盛り込んだ独自性のあるビジョンとなっている。
高校生など幅広い世代や異業種の声をビジョンに反映
同町は、標高約210mから約1,510mに位置し、愛媛県に隣接する。地形は急峻で、東西に吉野川、南北に吉野川へ流れ込む支流が走り、高齢級の天然林を擁する白髮山がある。森林面積は1万2,088haで、民有林の人工林が57%(6,970ha)を占める。
7つのテーマ・25の基本施策と5年・10年後のKPIを示す
策定した構想では、「針葉樹と広葉樹、大規模と小規模、新技術と旧技術、経済発展と環境保全の共存」を基本の“約束”に掲げ、7つのテーマと25の基本施策を示した。
計画期間は2072年度までの50年間で、10年ごとに見直しを行って進捗状況を検証する。このため、森林整備や木材利用、人材育成など個別施策に関する5年後、10年後のKPI(重要業績評価指標)を設定した。
施策を進める財源には、森林環境譲与税を活用する。同町には今年度(2022年度)、約3,600万円の譲与税が交付されることになっている。
町内にある県立嶺北高等学校では地域探究型プログラムの一環として、森林・林業についての授業を行っており、生徒2名が策定委員会の委員に選任された。同町の担当者は、「若い世代や異業種の意見を聞くことで“町民目線”の検討ができた。多くの方々と共存しながら発展する道を目指したい」と話している。
まず今年度は、ゾーニングや意向調査、境界明確化の推進など、森林の基盤整備を重点的に行うことにしている。
(2022年4月21日取材)
(トップ画像=「土佐本山コンパクトフォレスト構想」の表紙)
『林政ニュース』編集部
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