森林研究・整備機構森林整備センターの関東整備局は、11月29日に群馬県桐生市で、「最新情報通信技術を活用した事務業務改善」をテーマにした技術検討会を実施した。同センターでは第5期中長期計画(2021∼2025年度)に基づき森林総合研究所等と連携しながら、森林整備に関する最新技術の普及に取り組んでおり、関東整備局では3年ぶりに現場での開催となった。
同検討会には、森林管理局や県・市町村の職員、林業関係者など62名が参加。森林総研収穫システム研究室主任研究員の瀧誠志郎氏が、「森林デジタルツイン構築に向けた最新技術の活用」と題する講演を行い、森林情報のビックデータ化や、森林デジタルツインの構築などについて解説した。
森林デジタルツインとは、現実の森林から収集した様々なデータを、双子のようにコンピュータ上で再現する技術をいう。データを定期的に更新していくことにで時間軸を加えた4次元情報として高度な森林管理が行えるようになると期待されている。瀧氏は、森林デジタルツインの実用化に向けて、オープンデータ化や人材の育成が課題になっていると説明した。
講演に併せて、同センターが導入している「無人航空機(UAV)」や「オルソ画像化ソフト」、「レーザ計測による林況調査」、「FRD(路網設計支援ソフト)」と、これらを組み合わせた業務への活用方法なども紹介。その後、現地に出てデータ解析の結果と現実の林分との乖離状況などを検証し、最新の技術が業務の生産性や品質の向上、省力化・効率化にどのように寄与するかを議論した。
参加者の間からは、「遠くない将来にデジタルツインは常識になると感じた」、「情報通信技術に関するアンテナを高くしておかないと時代に乗り遅れてしまう」などの感想が聞かれた。
(2022年11月29日取材)
(トップ画像=講演は桐生広域林業会館で行った)
『林政ニュース』編集部
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