清水次長への耳打ちは発表日の朝、望月林政部長に風雲の予感
林野庁の8月6日付け人事異動では、長官とともに№2ポストの次長も代わった。昨年(2025年)7月から次長を担ってきた谷村栄二氏(平成3年入省・東大経卒)が畜産局長へ異動し、後任として林政部長の清水浩太郎氏(平成6年・東大法)が次長に就任した。
清水氏が次長昇格を耳打ち(内々示)されたのは、なんと発表日(7月31日)の朝だったという。本人も「全く考えていなかった」と言うほどの不意打ち発令。もっとも、清水氏は林政課長もつとめており、経験は十分。「長崎屋長官をしっかりと支えます」と力強く話す。唯一不安感を口にしたのは、「僕はドメスティック(国内派)」ということ。次長は国際会議などで海外に出ることが多く、早速インド出張が控えている。「英語をやり直すいい機会です」とは、その通り。56歳。

清水氏からバトンを受けて林政部長に就いたのは、大臣官房文書課長の望月健司氏(平成8年・東大経)。2023年7月から林政課長をつとめ、3年ぶりに林野庁に帰ってきた。前任の清水氏は温和な雰囲気を醸し出していたが、対照的に望月氏はズバッと切り込むタイプ。就任直後に抱負を聞くと、「非住宅分野は中高層ビルだけでなくコンビニやファストフード店など低層物件の木造化が大事」、「リグニンやセルロースなどの成分利用をもっと進めるべき」とよどみなく答えた。語調にも力がある。ストレートなキャラクターは風雲を呼びそうだ。54歳。

出向中の木下氏を国有林野部長に異例のダイレクト起用
続いて、国有林関係の幹部人事に目を向けよう。国有林野部長から長官に“飛び級”で昇格した長崎屋圭太氏(平成4年・京大林)の後を受けて起用されたのは、同期の木下仁氏(森林研究・整備機構森林整備センター審議役、平成4年・北大林)。外部機関である国立研究開発法人(森林研究・整備機構)の森林整備センターに出向している人材が本庁部長にいきなり起用されたのは初めて。これもサプライズ発令だ。
木下氏は、出向前に本庁で2つの課長をこなしており、進取果敢なところが持ち味。「僕は保守本流ではないですよ」と言いつつも、「古い体質は見直して再構築する時期ですね」と明確に言う。趣味は多彩で、長年親しんでいるスキーに加え、愛車のジムニーをカスタマイズしてアウトドアライフを楽しみ、サッカーのJリーグ観戦(神戸のヘビーサポーター)は年間20試合に及ぶ。56歳。

国有林の出先機関の1つ、関東森林管理局の局長も交代した。在任約2年の松村孝典氏(平成4年・京大経)が本省に戻り、大臣官房統計部長に着任。代わって、増井国光氏(平成4年・早大政経)が関東局長に就いた。
増井氏は、林野庁勤務は初めて。入省後、建設省(現・国土交通省)や厚生省(現・厚生労働省)、スポーツ庁などに出向して新規事業を手がけ、6月23日付けで農業・食品産業技術総合研究機構監事から大臣官房付となって待機していた。プロデュース能力が高く、おしゃれでイケメンという評判も目立つ。
木材利用課長に古渡氏、治山課長に赤羽氏、56歳カルテット誕生
次に、本庁課長にスポットを当てよう。木材利用課長の難波良多氏(平成14年・東大法)が経営局協同組織課長に異動し、代わって内閣法制局第一部参事官の古渡善幸氏(平成15年・東大法)が木材利用課長に就任した。
古渡氏は、入省後に企画課で法令係長をつとめて以来、約20年ぶりの林野庁勤務となる。茨城県出身で、県内トップクラスの進学校・土浦第一高校から東大に進んだ。高校時代はバスケットボール部で汗を流し、今も「スポーツを観るのが好き」と屈託なく話す。まだ45歳。快活さを漂わせる古渡課長の手腕に注目したい。

木材利用課長の異動に先立ち、7月31日付けで治山課長が交代した。昨年4月から治山課長をつとめてきた村上幸一郎氏(平成5年・山形大)が前出・木下氏の後任として森林研究・整備機構森林整備センター審議役に出向し、後任には内閣官房地域未来戦略本部事務局参事官の赤羽元氏(平成7年・京大院林)が起用された。
赤羽氏は、治山課勤務は初めてであり、いきなり林野公共予算の勘所を担うことになる。もっとも飲み込みの早いタイプなので不足はない。趣味の読書は「年間100冊が目標」であり、最近感銘を受けたのは松岡圭祐著『八月十五日に吹く風』。ジャズもよく聴き、好きなミュージシャンはデューク・ピアソンとなかなかマニアック。これから独自の赤羽カラーが滲み出てきそうだ。

以上、本庁課長以上の人事評を行ってきたが、最後に一言。
8月6日付け発令で誕生した長崎屋長官、清水次長、木下部長はいずれも56歳。また、唯一動かなかった齋藤健一・森林整備部長(平成5年・農工大林)も56歳。林野庁首脳陣で同年齢のカルテット(4人組)を形成できるのは珍しい。偶然なのだろうが、このあたりにも今回の人事のフレッシュ感が表れている。
(2026年7月31日・8月6日取材)
詠み人知らず
どこの誰かは知らないけれど…聞けないことまで聞いてくる。一体あんたら何者か? いいえ、名乗るほどの者じゃあございません。どうか探さないでおくんなさい。