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10名の小規模製材でも年商2億5,000万円、「利益重視でいく」
佐竹木材の本社兼工場は、四万十川の支流・内川と並んで走る県道332号線沿いにある。ただし、県道から見えるところに同社の看板が出ているわけではなく、脇道に逸れるようにしないと辿り着けない。決してアクセスのよい立地とは言えないが、ここに全国の国産材関係者が頻繁に足を運んでいる。それだけの“吸引力”が同社にはある。
同社の年間原木消費量は2,000~2,500m3。従業員数は、パートらを含めて10名。典型的な小規模製材所と言えるが、直近の年商は約2億5,000万円に達する。

主たる生産品目は、ヒノキの役物。業界内では“役物の時代は終わった”とされているが、同社のもとには役物の注文が絶え間なく入っている。
社長の佐竹翼(43歳)は、「いたずらに売上げを追うことはしない。利益重視でいく」との方針を明確に打ち出しており、自らも台車に乗って地元産の高品質ヒノキを丁寧に注文挽きしている。
ヒノキ役物の納品先は、四国内はもちろん、中国・九州地方や大阪、名古屋など広範囲に及んでおり、公共物件を中心に大型建築物の部材として採用されるケースも増えている。
「ここでしか入手できない」オンリーワン製品が収益の柱に育つ
ヒノキの役物に加えて、佐竹木材のウリとなっているのが、幅広のラミナ(板材)だ。サイズは、幅240㎜、厚さ30㎜を基本としており、業界通も「ここでしか入手できない」と認めるほどのオンリーワン製品になっている。
集成材用のラミナ生産は、総じて歩留まりが悪く、量産しないとなかなか利益が出ない。佐竹も、「正直、うちには向かない製品だと思っていた」と話す。
だが、高知県庁の仲介で大手ハウスメーカーの三菱地所ホーム(株)(東京都港区)と打ち合わせを進める中で、厚板パネルなどの材料になる幅広ラミナが求められており、生産体制を整えている工場が見当たらないことがわかった。それならと試作品をつくって価格提示をしたところ、「採算に乗る」となり、三菱地所ホームのブランド住宅「ROBRA(ロブラ)」の部材に用いられて定着していった。
佐竹は、幅広ラミナについて、「利益率は若干下がるが、コンスタントに売れていく。面白い製品」と評しており、収益の柱として育ってきている。

直販の割合を高めて、在庫を持たない顧客へのサービスを強化
佐竹木材は、佐竹の祖父・昭生が地元の森林組合で工場長をしていた経験を活かして1974年に創業した。2代目社長は現会長で実父の日出男がつとめ、3年前、佐竹が40歳の若さで3代目社長に就任した。
同社は、発足時からヒノキ製材一筋で社歴を重ね、メインの製品出荷先は、地域の拠点である協同組合西部木材センター(宿毛市)となっている。同センターは、最盛期には約20社が加盟し、年商10億円以上を誇った日本有数のヒノキ製品市場だ。ただ、現在加盟しているのは、同社を含めて6社にまで減少している。
佐竹は、社長に就く前から、これからの事業展開について父の日出男と議論を重ねてきた。そこで出た結論の1つが「(売り先が)市場1本では経営が難しくなる」ということ。以降、直販の割合を高めてきており、「今は市場委託と直販が半々くらいになっている」という。

同社は、自前のトラックを駆使して、四国内ならば注文された製品をダイレクトに配達する体制を整えている。「在庫を持たない顧客が本当に増えた」と口にする佐竹は、「短納期で必要なものだけ届けられるサービスを提供し続けていく」と話している。
独自の技術とネットワークで「山から採れる木をすべて活かす」
佐竹木材のような同族経営の製材会社は、後継者を育成するために、商社などへ“修行に出す”ことが多い。しかし、佐川の父・日出男は、自社にとどまって独力でノウハウを培うことを求めた。このため佐竹は、「失敗も多くしたし、苦労もした」と言うが、「自分自身で答え合わせを繰り返してきたことが結果的によかった」と振り返る。
地力で経営力を高めてきた佐竹は、「ほかでは真似できない技術やネットワークが弊社の財産になっている」と強調する。製材経営の根幹である原木の確保についても、約3000haの自社林に加えて県内外の山の事情に精通しているので、「こちらから価格を提案すると、喜んで出してもらえる関係性ができている」と語る。
今、佐竹のもとには、国産材の引き合いに関する様々な情報が集まってきている。「それらと弊社の技術力を活かして“職人技を活かした製材所”を追求していきたい」と口にした佐竹は、こう続けた。「日本の山から採れる木をすべて加工・販売できるようにすれば、売れ行きに合わせて挽く量を調整できる。これを実現したい」。
(2025年11月4日・2026年1月19日取材)
(トップ画像=佐竹木材は大径のヒノキ材も挽きこなす)
『林政ニュース』編集部
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