ITTO事務局長に初の女性、マレーシアのサックル氏を選出

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神奈川県横浜市に本部を置く国際熱帯木材機関(ITTO)は、11月29日から12月3日まで第57回国際熱帯木材理事会をオンラインで開催し、次期事務局長に木材生産国であるマレーシアのシャーム・サックル氏(58歳)を選出した。ITTOの事務方トップに女性が就任するのは初めて。

サックル氏は、イギリスの企業内弁護士を経て、1995年からマレーシア木材協議会に勤務。法律知識のある国際貿易の専門家として、EUと木材生産国間の合法木材取引に関する交渉団の一員としても活躍した。2017年からは、ITTOの事務局次長(組織運営担当)をつとめている。

ITTOの事務局長には、1986年の発足時から生産国側の人材が選ばれてきた。だが、第3代事務局長のゼメカ氏(カメルーン)らが不正投資事件を起こし、2016年に消費国側のゲルハルト・ディーターリ氏(ドイツ)が事務局長に就任。同氏が昨年3月に任期満了で退任してからは空席になっていた。

サックル氏は、遅くとも4月までに第5代ITTO事務局長に正式就任し、トップポストが生産国側に戻るかたちになる。任期は4年。

日本の拠出でベトナムの木材消費を拡大、新機軸プロジェクトにも着手

第57回理事会では、日本、米国、中国などが総額約380万ドル(約4.1億円)をITTOに任意拠出すると表明。このうち日本からの拠出は85万ドル(約9,300万円)で全体の22%を占める。林野庁からの拠出分は68万ドル(約7,400万円)で、ベトナムにおける持続可能な木材消費の促進、コスタリカにおける人工林経営の競争力向上、マレーシア・サラワク州における住民参加による森林経営──の3事業を進める。

このうち、ベトナムで実施する事業は、日本が木づかい運動やウッドデザイン賞などのプロモーション活動を通じて得たノウハウを提供して、木材消費促進の基盤をつくる新たな取り組みとなる。経済成長を続けるベトナムを生産国ではなく消費国と位置づけて市場拡大を目指す事業であり、ITTOにとっても新機軸のプロジェクトとなる。

(2021年12月3日取材)

(トップ画像=シャーム・サックル(Sheam Satkuru)氏)

『林政ニュース』編集部

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