岡山県の勝英木材同業組合(板坂秀人組合長)が搬出間伐に関する補助率引き下げの見直しを訴えている。8月21日に上京して、小坂善太郎・林野庁長官に要望書を手渡した。
同組合は、岡山県勝英地域の林業事業体や森林組合など36社で構成しており、当日は板坂組合長ら主要メンバー4名と地元・美作市長の萩原誠司氏が林野庁を訪れ、小坂長官らと意見交換を行った。

同組合が問題視しているのは、国の森林環境保全直接支援事業による補助率の引き下げ。同事業では、補助対象となる間伐搬出材積に上限を設定しており、これを段階的に引き下げる方針が打ち出されている。上限材積が10m3下がるとha当たりの補助金額が6万円程度減少するとの試算もあり、板坂組合長は、「物価高や人件費の高騰などで経営環境は非常に厳しい。現行の補助率が維持されないと小規模な企業などは生き残れなくなる」と危機感を隠さない。
全国的に人工林の成熟化が進行し、間伐主体の森林整備から主伐・再造林へのシフトが必要になっている。こうした状況は同組合のメンバーも理解を示しているが、足元の勝英地域に関しては、急傾斜地が多く、主に成長の遅いヒノキ林が生育しており、シカ害も深刻化するなど、一気に主伐に切り替えられない事情がある。
この点については、要望活動に対応した小坂長官らも、「全国一律にできないことはよくわかる」と口にし、上限材積の具体的な見直しは各県が決めるので、情報交換などをきめ細かく行っていく姿勢を示した。
森林づくりに関する施策は、“総論”と“各論”の調整が難しい。来年度(2026年度)予算の編成作業などが本格化する中で、同組合が発した“現場の声”をどう受け止めていくかが問われている。
(2025年8月21日取材)
『林政ニュース』編集部
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