西日本一の貯水量を誇り「四国の水がめ」といわれる早明浦ダムの水源域に広がる森林の整備・保全を進めるため、高知県の土佐町と本山町及び香川県の高松市の3市町が「一般財団法人もりとみず基金」を立ち上げた。1月18日に土佐町で設立総会を開き、理事長に三好一樹・前高知県高知東林業事務所長、事務局長に尾崎康隆・土佐町企画推進課課長補佐兼SDGs推進室長が就任し、当面の事業計画などを決めた。
吉野川の上流部にある早明浦ダムでは、貯水量の低下が不安視されている。*1そこで、上流域の森林整備を通じて、樹木の蒸発散量や根系による地中水の吸い上げ量などを調整し、ダムに流れ込む河川流量の安定化を目指す。
同基金を原資にして、森林の計画的な整備や林業経営・植林・育林の支援、伐出材の販路開拓、人材育成などを後押ししていくことにしており、とくに森林整備が水資源の保全に貢献することをわかりやすく示す方針だ。
同基金では、気象や地形、土地利用、河川流量などの各種データを統合した水循環解析に基づいて土佐町が構築した早明浦ダム周辺の3D水循環モデルを活用して森林整備などの効果の“見える化”に取り組む。
また、産業連関表を用いて、林業以外の産業における水資源の価値を算出し、水源保全のコストを明確化することも検討している。
同基金の財源は、自治体からの交付金と、企業や個人からの投資や寄附で賄う。一部の事業では、成果連動型民間委託契約方式を採用し、森林整備による水資源の安定化への貢献を客観的に評価し、収益性の向上につなげる仕組みを構築する予定だ。
(2024年1月18日取材)
(トップ画像=設立総会に出席した関係者、画像提供:本山町)
『林政ニュース』編集部
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