値下げの中で新たな需要の兆しも─中央国有林材供給調整検討委員会を開く

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値下げの中で新たな需要の兆しも─中央国有林材供給調整検討委員会を開く

林野庁は、今年度(2024年度)の中央国有林材供給調整検討委員会(委員長=遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長、元鹿児島大学教授)を11月6日に農林水産省内の会議室で開催した。

林野庁の担当者が最近の木材需給動向や国有林材の供給状況などを説明し、各森林管理局における検討委員会の結果などが報告された後、意見交換を行った。

住宅需要の低迷で原木市場での取引価格やプレカット価格などは値下げ傾向にあり、合板も大手メーカーがシェアを確保するために値下げする動きが出ているが、関東など一部地域では夏場の虫害材が消化されたことで10月末から原木が値上がりする傾向も出ているとの見方が示された。

また、木質バイオマス発電向けの燃料材需要は依然として旺盛であり、スギ等の2×4(ツーバイフォー)材も需要拡大が見込めるほか、都市部では非住宅建築物の内装などに国産材が使用されるケースが増えており、イベントや舞台のセット等で使用される木材の需要も堅調とされた。

一方で、「物流の2024年問題」に関連して、中小運送事業者のドライバー確保が難しくなってきており、長距離輸送に影を落とし始めているという実態も伝えられた。

議論を踏まえて遠藤委員長は、国有林材の供給調整を緊急的に行う必要性はないが、住宅着工減など様々なリスクが顕在化しており、今後も各地域で需給状況を注視しつつ、必要な対応を柔軟に措置するべきと指摘。「国有林材が国産材供給のベースラインとして一定の役割を果たすよう努め、対外的に発信していくことも重要」と総括した。

(2024年11月6日取材)

(トップ画像=年に一度の中央国有林材供給調整検討委員会を11月6日に開催した)

『林政ニュース』編集部

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