「骨太の方針2022」に森林「吸収」への投資を明記

全国 森林の新たな利用 予算・事業

政府は、来年度(2022年度)予算編成の基本方向を示す「骨太の方針2022」(経済財政運営と改革の基本方針2022)を6月7日に閣議決定した。岸田政権として初となる「骨太の方針」では、「新しい資本主義に向けた改革」や「内外の環境変化への対応」などを重点課題とし、森林吸収源対策や木材の安定供給体制の構築、森林整備・治山対策などを引き続き推進することを明記した。

森林リート市場の検討など基盤整備を推進

「骨太の方針」は、新しい資本主義に向けた重点投資分野の1つとして「グリーントランスフォーメーション(GX)への投資」をあげ、今後10年間で150兆円超の投資を行って、「成長志向型カーボンプライシング構想」を実現する目標を掲げた。投資によってもたらされる効果として、(二酸化炭素(CO2)の)排出抑制とともに、「吸収」も位置づけた。

「骨太の方針」の当初案では「吸収」の文言はなかったが、検討過程で森林整備を通じたCO2吸収の重要性が強調され追加された。林野庁幹部は、「今後の予算確保に向けて『吸収』の2文字が入ったことは大きい」と評価している。

また、GX関連では、「森林吸収源対策等を加速化する」とも記し、「サステナブルファイナンス市場の拡大に向けた早急な環境整備」を図るため、「森林由来クレジットの創出拡大、森林リート市場の検討など森林分野等における民間投資促進のための基盤整備」が必要とした。

「内外の環境変化への対応」では、「食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進」を重点テーマに掲げ、「再造林促進や林道等の生産基盤整備等を含む木材の安定的・持続的な供給体制の構築、CLT等の木材利用拡大を進める」ことを明記した。

このほか、「防災・減災、国土強靭化の推進」の一環として、「流域治水の取組」をあげ、具体的な事業の1つとして、従来どおり「森林整備・治山対策」の文言を入れた。

林野庁は、「骨太の方針」に盛り込まれたこれらのキーワードを足がかりにして、来年度(2023年度)予算概算要求に臨むことにしている。

(2022年6月7日取材)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から31年目に突入! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。

この記事は有料記事(908文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。