飛島建設(株)(東京都港区)と国際緑化推進センター(東京都文京区)は、「丸太打設液状化対策&カーボンストック(LP-LiC)工法」によって約10年前に地中に打ち込んだ丸太の掘り出し調査を千葉県木更津市で行った。12月1日に関係者約40名を集めて見学会を開き、掘り出した丸太は腐朽していないことを確認した。
同工法は、丸太を地中に打ち込み、緩い砂地盤の密度を高めることで液状化現象を防止するもの。調査を行った場所は、合板・LVLメーカーの(株)キーテックの敷地内。5m四方のプロットを設定し、末口直径14cm、長さ4mのスギ丸太64本を2013年2月8日に打ち込んだ。打設した丸太による二酸化炭素(CO2)固定量は2.77tと計算されている。
調査では、専用アタッチメントを装着した掘削機で、地中に打ち込んだ64本の丸太をすべて回収した。飛島建設の担当者は、「室内実験で丸太の耐久性は確認できていたが、現場で初めて調査することができた。丸太の腐朽はほとんど確認されず炭素貯蔵に有効なことがわかった。今後はより詳細な分析を行い、炭素固定量の変化や強度、細菌の有無などを計測する」と話している。
なお、これまでに同工法が採用された現場は約30件で、さらなる普及に向けて打設プロセスの見直し等によるコストダウンの検討を進めている。また、同工法で丸太を利用しても、現行の地球温暖化対策に関する国際ルールでは炭素固定量が適切に評価されないため、林野庁等と連携して取得したデータをもとに独自の算定方法を確立することも課題にあがっている。
(2022年12月1日取材)
(トップ画像=掘り出されたスギの丸太)
『林政ニュース』編集部
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