2027年度に向け高知県が「再造林推進プラン」 林業適地へ集中投資、「森の工場」を拡大

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2027年度に向け高知県が「再造林推進プラン」 林業適地へ集中投資、「森の工場」を拡大

今年度(2023年度)から再造林対策を強化している高知県は、2027年度までの5年間を計画期間とする「再造林推進プラン」を新たに策定した(9月15日に公表)。再造林率を現状の40%から70%に引き上げるため、①林業適地への集中投資、②林業収支のプラス転換、③造林の担い手の育成・確保の3つを柱に据えた施策を展開するとともに、全体工程表とKPI(重要業績評価指標)を示して進捗管理を行っていくことにした。

①林業適地への集中投資では、森林クラウドを活用して効率的な施業が行える区域を指定し、新たな「森の工場」を整備していく。同県では、人工林を集約化した「森の工場」づくりに2004年度から取り組んでおり、昨年度(2022年度)までに約8万ha以上を設定している。これを皆伐・再造林の中核に位置づけ、隣接地も巻き込みながら、林業イノベーションや人材育成のフィールドとしても活用していく。KPIとして、人工林に占める林業適地の割合を2023年度の35%から2027年度には44%へ引き上げ、「森の工場」の承認面積を約8万8,000haから約10万haに拡大する目標を掲げた。

②林業収支のプラス転換では、造林の負担軽減に向けた仕組みづくりを進める。再造林基金団体数を現状の1団体から6団体に増やすほか、低密度植栽の割合を54%から74%に高め、成長に優れた苗木等の供給量を4,000本から20倍増の8万本に拡大する。野生鳥獣による食害対策も強化し、ニホンジカの年間捕獲頭数を約2万1,000頭から約2万5,000頭に増やす。

③造林の担い手の育成・確保では、造林を行う事業者の起業や伐採事業者との連携を支援するとともに、林業大学校を中心とした人づくり対策を拡充し、造林の就業者数を248人から331人に増加させる。

これらの取り組みを着実に進めるため、県が設置している産業振興計画フォローアップ委員会(林業部会)が全体工程表とKPIに基づいて進捗状況を管理し、必要に応じて見直していくことも「プラン」に明記した。

(2023年9月15日取材)

(トップ画像=新たな「森の工場」のイメージ、高知県資料より)

『林政ニュース』編集部

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