三鷹市・矢吹町・白鷹町が譲与税活用協定 都市(まち)から森林(もり)へ資金提供し脱炭素化推進

三鷹市・矢吹町・白鷹町が譲与税活用協定 都市(まち)から森林(もり)へ資金提供し脱炭素化推進

東京都三鷹市(河村孝市長)と福島県矢吹町(蛭田泰昭町長)及び山形県白鷹町(佐藤誠七町長)は、7月10日に「森林環境譲与税の活用に係る連携に関する協定」を締結した。三鷹市に交付されている譲与税を財源にして、矢吹町と白鷹町で森林の整備・保全を進め、行政界を超えて脱炭素化などを進める

同日、三鷹市役所の市長公室で協定締結式を行い、3市町が連携して、①森林の整備・保全、②カーボン・オフセット、③林業作業や自然観察など森林体験活動、④間伐材など木材の活用──に取り組むことで合意した。

今年度(2024年度)は、三鷹市に交付される約2,000万円の譲与税のうち900万円を使ってカーボン・オフセット事業を実施する。

具体的には、矢吹町内の三十三観音史跡で雑草木の下刈りや伐出作業を行って約2haを植林し、約3.5tの二酸化炭素(CO2)を吸収する(事業費600万円)。白鷹町でも郷土のシンボルである白鷹山で約2haの伐採跡地に再造林して約2tのCO2を吸収する(同300万円)。両町が吸収した約5.5tのCO2を三鷹市が排出するCO2と相殺することによって、総合的な脱炭素化を図る。

姉妹・友好都市の関係性をベースに協働、「ここがスタート」

三鷹市は、2022年12月に「ゼロカーボンシティ」を宣言し、2050年までにCO2など温室効果ガスを実質ゼロにすることを目指している。同市は約19万人の人口を擁するが、森林面積はわずか1haしかない。そこで森林の多い自治体と連携して、カーボン・オフセットによって「ゼロカーボン」につなげることにした。

矢吹町とは1964年に姉妹都市、白鷹町とは1989年に友好都市の関係を結んで交流を深めてきた。その“蓄積”が今回の協定のベースにある。  

締結式に臨んだ河村・三鷹市長は、「矢吹・白鷹両町との関係性をさらに深めていった上で、(他の自治体とも)連携が広がっていくかもしれない」と話し、蛭田・矢吹町長は、「戦後造成した人工林を手入れしていくためには、この協定のような仕組みが欠かせない」と強調。佐藤・白鷹町長も、「譲与税を活かすには地方と都市部の役割分担が重要になる」と応じ、3氏とも「ここ(今回の協定)がスタートになる」との認識を示した。

(2024年7月10日取材)

(トップ画像=協定書を取り交わした(左から)蛭田泰昭・矢吹町長、河村孝・三鷹市長、佐藤誠七・白鷹町長)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしていきます。

この記事は有料記事(1033文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。