国産材需給量1.4倍、4,200万m3目指す、新「基本計画」の2030年目標値決める

予算・事業 法律・制度

林野庁は、新しい「森林・林業基本計画」に盛り込む国産材利用量などの目標値を決めた。2030年の木材総需要量は現状(2019年)より500万m3増の8,700万m3になると見込み、その48.3%にあたる4,200万m3を国産材で賄う。10年後の国産材需給量を現状の1.4倍に増やす目標値を掲げ、生産体制の整備や再造林対策の強化に取り組む。新「基本計画」は、パブリックコメントや林政審議会からの答申を経て、6月中に閣議決定する予定。

新たに設定した国産材利用量の目標値と、外材も含めた木材総需要量の見通しは、表1のとおり。2016年5月に策定した現行計画*1の目標年(2025年)を5年先に伸ばして2030年にし、所要の見直しを行った。国内の人口減で既存の住宅市場は縮小するが、都市部における非住宅建築物やリフォーム、土木用材、木材輸出などの新規用途が拡大し、バイオマス発電向けの燃料材ニーズも強まると見込み、総需要量は8,700万m3に増えると予測。これに見合うかたちで国産材の利用量及び供給量も右肩上がりで伸びていくと見通した。

併せて林野庁は、20年後までを視野に入れた国内森林の誘導目標値(目標とする森林の状態)についても見直しを行った。現行計画から大きな変更はなく、育成単層林から育成複層林への誘導ペースの遅れを取り戻すことを数値設定に盛り込んだ(表2参照)。

【解説】50%割れにこだわらず、高いハードルで業界改革促す

新「基本計画」が示した目標値から10年後の木材自給率を計算すると48.3%になる。現行計画の50.6%からダウンし、50%を割り込むことには、異論や反発が出るかもしれない。だが、もともと「基本計画」に自給率を書き込む決まりはなく、本郷浩二・林野庁長官も就任時に「今の枠組みで自給率にこだわっていてもあまり意味はない」と語っていた*2。
それよりも新「基本計画」がこだわりをみせているのは、単価の高い製材用材の国産材利用量(=供給量)を引き上げることだ。1,300万m3から1,900万m3へ600万m3も増やす目標を掲げた。新設住宅着工減が進行する中で、あえて高いハードルを設け、国産材業界の構造改革を促す意図が窺える数値となっている。

『林政ニュース』編集部

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