今年(2023年)2月に発足した「静岡県東部地域デジタル林業推進コンソーシアム」が国の「デジタル林業戦略拠点」向けに提案していた事業計画が採択された。今年度(2023年度)から3か年をかけて、最先端のデジタル技術によって木材生産や流通などを効率化するモデルをつくり、成果を県内外に普及していく計画だ。
同コンソーシアムは、県森林組合連合会が発起人となり、市町村や林業経営体、木材加工業者、大学、研究機関、金融機関、IT企業など25者で設立。県東部地域で「デジタル林業」を実践・定着させることを目指している。同地域には、県産材の大口需要先である(株)ノダ(東京都台東区)の合板工場があり、県森連が今年1月に中間土場を新設するなど供給力強化に向けた基盤づくりが進んでいる。また、県内では新興林業地にあたり、豊富な森林資源や比較的平坦な地形など、県産材の供給力アップに取り組みやすい条件を備えている。
ただし、一層の増産と流通等の効率化を図るためには、デジタル技術の活用が不可欠であり、国の支援を受けて取り組みを加速化することにした。今年度から、①GNSS測量やGISなどを利用した森林調査・施業の効率化、②下刈り機械やドローンの活用による造林保育の低コスト化、③山土場・中間土場でのデジタル検知に基づく丸太生産・納品情報共有システムの構築──などの導入と検証を進め、2025年度までに社会実装することを目指している。
なお、国が今年度の新規事業として指定を進めている「デジタル林業戦略拠点」には、同地域のほか北海道*1と鳥取県*2の計3件が採択された。同拠点の整備に投じる国の予算総額は1億2,000万円で、同地域には3,700万円が配分される。
(2023年4月13日取材)
『林政ニュース』編集部
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