造林コストをha105万円削減、和歌山署などが現地検証

最新技術を活用した低コスト造林作業の効果を検証する現地検討会が和歌山県西牟婁郡すさみ町の宮城川国有林で3月5・6日に行われた(和歌山森林管理署など主催)。

現地は、2017年3月に皆伐と植栽を実施した0.4haの造林地。伐採と造林の一貫作業で地拵えを省略し、枝条の隙間に植栽が可能なコンテナ苗(スギ)を使用。植栽密度はha当たり2,000本とし、樹高70㎝超の大苗も併用して下刈りを省略できるようにした。シカの食害対策についても、一部で支柱の代わりに立木を使ったほか、軽量で安価なステンなしネットを用いた斜め張りを採用して経費を圧縮した。

事業実施から2年が経過した現時点における結果は、のとおり。苗木代と苗木運搬費は従来よりかかり増しになり、ネットの一部補強による追加出費もあったが、地拵えの省略や植栽効率の向上、低密度植栽による植え付け費の節約、下刈り作業の削減などによって、1ha当たり合計105万円余(事業費換算)のコストダウンとなった。

初日の5日には、国有林関係者のほか和歌山県と奈良県の民有林関係者も合わせた約80名が参加し、植栽木の成長状況などを検証。和歌山署の担当者は、「植栽から2年目以降に大きな成長が確認されており、植栽本数を減らしても成林時の本数は変わらず主伐時の収益は従来と同程度が見込める」などと解説した。植栽木に根曲がりや幹曲がりが多くみられることにし、「伐採時に曲がり部分を外せば(利用上の)問題はない」と説明。今後も、おおむね2年ごとに経過を観察し、形質の評価なども行っていくことにしている。

『林政ニュース』編集部

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