東京都が新たに「木材利用ポイント事業」 1億2,000万円分交付、多摩産材に上乗せ

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東京都が新たに「木材利用ポイント事業」 1億2,000万円分交付、多摩産材に上乗せ

東京都は、来年度(2022年度)から新たに「木材利用ポイント事業」を実施する。多摩産材など国産材を使った住宅の購入者に対し、木材使用量に応じてポイントを交付し、需要の喚起を図る。

木材利用ポイント事業は、国(林野庁)が2013年7月から2015年10月まで行い、1,794億円の経済波及効果があったと試算されている。国内最大の消費力を有する都が独自に木材ポイントを導入することで、どのような経済効果が生まれるのか、事業の帰趨が注目される。

都は、来年度予算案にポイント事業の必要経費として2億円を盛り込んだ。これを原資にして体制を整え、約1億2,000万円分のポイントを消費者に交付する計画。1ポイントは1円相当とし、都の特産物の購入費やアウトドア体験の利用料、伝統技能を用いた内装費などに充当できる。

対象となるのは、「東京ゼロエミ住宅」の認証を取得している新築の木造住宅で、木材使用量を基準に1m3当たり1万ポイントを交付する。多摩産材を4m3以上使用している場合は、1m3当たり8万ポイントを交付する上乗せ措置を設けて地産地消の促進につなげる。1棟当たりの交付上限は、60万ポイント。来年度予算が成立後、実施事業者を公募によって決定し、夏頃からポイントの申請を受け付けることにしている。

先進機械の導入や木造化施工を支援、国産材関係予算70%増

都は、来年度新規事業として、木材利用ポイント事業に加えて、①林業先進技術導入事業(予算額4億円)と②林業機械化促進事業(同1億円)もスタートさせる。①では、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などの先端技術を活用した林業機械の導入を進めるため、国内外の調査などを行って基本情報等整備するとともに、モデルとなる機械を無償貸与して現場での実証を行う。これを踏まえて、②では実用性が確認された林業機械の購入費について助成する。認定事業体の場合は補助率を10分の9とするなど支援を手厚くして、機械化の加速化を目指す。都内の林業地は急峻なところが多いため、リモコン操作が可能なタワーヤーダーや集材機などの導入が有望とみられている。

このほか、現在実施している中・大規模建築物の木造木質化支援事業(同25億円)の内容を拡充し、設計費への助成(補助率2分の1、上限5,000万円)に加えて、施工費に対しても助成できるようにする。補助率は、木造木質化に係る経費の2分の1、上限は5億円(総経費の15%以内)とする。

東京都の国産材関係予算額

小池百合子知事は、2月8日に開催された全国知事会「国産木材活用プロジェクトチーム」のWEB会議で、木材需要拡大に率先して取り組む方針を強調し、都の来年度における国産材関係予算(木塀の設置費など含む)は、前年度比約70%増になると説明した。

(2022年2月8日取材)

『林政ニュース』編集部

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