高知県が「環境不動産」の認定制度を創設 独自条例を制定し、木造・木質化を支援

高知県が「環境不動産」の認定制度を創設 独自条例を制定し、木造・木質化を支援

高知県は、木造・木質化された非住宅建築物や4階建て以上の中高層住宅を「環境不動産」に認定して、税制面や都市計画面で優遇する制度を創設する。脱炭素社会の実現に向けて「都市(まち)の木造・木質化」の推進が叫ばれている中、同県独自の支援策を全国に先駆けて導入し、県産材需要の拡大につなげる。2月の県議会に関連条例案を提出、成立させ、新年度(2023年度)から運用を始める。

高評価の認定「不動産」は不動産取得税を軽減し容積率を緩和

同県が新たに認定する「環境不動産」は、対象を「木材を使用した非住宅建築物(商業施設、オフィスビル、病院等)や4階建て以上の中高層住宅」とし、国土交通省などがつくった建築環境総合性能評価システム「CASBEE(キャスビー)」と同県の独自基準によって評価を行う。

CASBEEでは、5段階評価のうち上から3番目の「B+」以上にランクされることを「環境不動産」の認定要件とする。また、同県の独自基準では、①延床面積300m2以上、②1m2当たり0.15m3以上の木材を使用、③使用木材の60%以上が県産材──の3つを満たすことを「環境不動産」の最低基準とした上で、林業・木材産業の持続性確保や良好な景観の形成、地域経済の活性化などの観点から3段階評価(S、A、B)を行う。

「環境不動産」に認定された建築物のうち、CASBEEで上から2番目の「A」以上で、同県の独自基準でも「A」以上に評価された場合は優遇措置の対象とし、不動産取得税(県税)を軽減するとともに、木材使用量等に応じて容積率を緩和(割り増し)することを検討している。

同県の濵田省司知事は、1月1日に年頭所感を述べた記者会見の中で「環境不動産」に言及し、「木造の建築物が環境に優しい建築物であるという評価を通じて木材の利用促進を図っていくことは、林業県である本県にとって産業振興面でも大きな意味を持つ」(要旨)と意欲を語った。

(2023年2月1日取材)

『林政ニュース』編集部

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