【ときの人】神戸市副市長に就任した黒田慶子・神戸大名誉教授

【ときの人】神戸市副市長に就任した黒田慶子・神戸大名誉教授

兵庫県神戸市(久元喜造市長)の副市長に、日本森林学会元会長の黒田慶子・神戸大学名誉教授が1月1日付けで就任した。同市初の女性副市長となる。


政令指定都市である同市の人口は約15万人。総面積は約5万5,000haで、その約4割にあたる約2万2,000haが森林だ。


久元市長からの要請を受けて副市長に就いた黒田氏は、「生活や経済活動に寄り添った里山林整備などに取り組み、目に見える成果を出していきたい」と抱負を語った。

黒田氏は、京都大学大学院で樹木組織学を専攻し、1985年に農林水産省林業試験場(現・森林研究・整備機構森林総合研究所)に入り、マツ枯れやナラ枯れなどに関する研究に携わった後、2010年から2022年まで神戸大学で教鞭を振った。

神戸大学でも森林病理学の研究を続けたが、ある時、「病気にかかった樹木だけ見ていても森林という生態系の“健康”は回復しない」と見極め、「根本から改善するために里山林の活用に方針を切り替えた」と振り返る。

2021年9月には、広葉樹の資源把握から需要創出までをデジタル技術で管理する「国産広葉樹活用プロジェクト」を立ち上げ、主に里山放置林にあるナラ材の活用に取り組んでおり、長野県や埼玉県などで連携の“輪”を広げている。

同プロジェクトの進捗状況を聞くと、「2年間で多くの問い合わせをいただき、いくつかの取り組みは実を結び始めている。しかし、ナラ枯れの拡大スピードを考えるともっと実行力が欲しい」と述べ、「副市長の立場からも広葉樹活用のモデル確立に努め、横展開を図っていきたい」と力を込めた。

(2024年1月2日取材)

(トップ画像=黒田慶子・神戸市副市長兼神戸大学名誉教授)

『林政ニュース』編集部

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