コンビヤーダを軸に新時代を拓く秋田グリーンサービス【突撃レポート】

秋田県 素材生産

秋田県の素材生産業界を代表する企業の1つ、(有)秋田グリーンサービス(秋田市、佐藤総栄・代表取締役)の注目度が上昇中だ。豊富な高性能林業機械に加えて最先端のニューマシンを導入して多様な現場への対応力を高めており、人材育成や技術開発などでも先頭を走ると期待されている。

タワーヤーダ(プラス)ハーベスタの最新機を日本で初めて本格導入

昨年(2020年)11月、秋田グリーンサービスは日本初となる林業機械「コンビヤーダ」を購入して関係者を驚かせた。コンビヤーダは、タワーヤーダとハーベスタの機能を併せ持つニューマシンだ。高性能の搬器や最大径55㎝まで造材できるハーベスタヘッドなどを備えており、架線集材、荷かけ、枝払い・玉切りなど一連の作業を2~3人で処理できる。生産性は、1日当たり40~50m3と極めて高い。しかも、機械操作は基本的に運転席からリモコンで行うので、作業員の安全性も向上する。

このニューマシンはオーストリアのコンラッド社が開発し、これまで国内各地でデモンストレーションなどは実施されてきたが、販売契約が成立したのは秋田グリーンサービスが第1号となった。補助金を利用できたとしても、7,000~8,000円という高額な投資には誰でも二の足を踏む。その中で、同社がコンビヤーダの購入に踏み切った理由について、社長の佐藤総栄氏(44歳)は、「今後こういう機械が必要になってくる」との読みを口にする。

事業地の奥地化に対応し未利用材活用、独自改良で分離使用も可能に

秋田グリーンサービスは、年間に4万m3強の素材生産を行っており、基本的に車両系システムで道づくりから伐出までをこなしている。のように保有機械は充実している。

だが、佐藤社長は、「事業地の奥地化などで架線系システムにした方が有利なケースが出てくる」と言い、コンビヤーダが活躍する場面が増えていくと見通す。架線系で全木集材すれば、梢端部まで燃料用チップなどに有効利用でき、地拵え作業を軽減できるメリットもある。一方、車両系の機械は、購入後の維持管理費がバカにならない。佐藤社長によると、「フォワーダ1台の足回りを2年に1回交換するだけで300万円くらいかかる」。機械が増えるほど、メンテナンスコストの抑制が迫られることも“架線系強化”の投資を後押しする要因になった。

佐藤社長は、コンビヤーダを購入するにあたって、世界初とされる独自の改良を加えた。それは、タワーヤーダとハーベスタをドッキングさせて動かすことも、分離・独立させて使うこともできるようにしたことだ。コンビヤーダという複合機械を固定的に用いるのではなく、集材と造材という機能ごとに切り分けて単独機械としても使えるようにして、全体的な稼働率を高められるようにした。

昨秋、“現場デビュー”を果たしたコンビヤーダは、県内各地で行われる見学会などでも披露されており、関係者からの意見も踏まえながら、最適な架線の張り方など新たな作業システムを構築する段階に入っている。

社員の半数は2030歳代、売り先が増え「フル稼働」が続く

秋田グリーンサービスは、佐藤総栄社長の祖父にあたる信孝氏が創業し、前社長で父の國男氏が1994年に法人化した。総栄氏が社長に就任したのは昨年4月だが、入社は23歳のとき。当時から比べると「仕事の量も種類も人もかなり増えた」と話す。

現在の社員は35名(役員を含む)で、20~30歳代が18名と半数を占める。作業部隊は、素材生産で5~6セット、造林で1セット、バイオマス発電用チップ供給で1セットという構成。主力事業である原木の販売先は、「合板用が最も多く、一般製材用と発電用チップが同じくらいの比率」だという。ユナイテッドリニューアブルエナジー(株)(秋田市)が東北最大級の木質バイオマス発電所(出力2万kW)を立ち上げるなど新たな出口(売り先)ができたことに加えて、年間6~7haの造林(新植)や病虫害防除、土木関係の伐採などの事業も引き受けており、「とにかく忙しい、フル稼働」という状況が続いている。

発電用燃料チップを生産する移動式チッパー

クラブDJの経験を活かし、常に次の局面を読み先手を打つ

3代目社長として秋田グリーンサービスを率いる佐藤氏は、林業界では珍しい経歴を持っている。クラブDJ(ディーJ)として活躍した時期があったのだ。若者向けのダンスホール・ディスコの進化形として1990年代に台頭したクラブでは、DJがターンテーブルやミキサーを駆使して流すBGMが“ノリ”と集客の決め手となった。DJの選曲と繋ぎ(ミックス)の腕前がクラブの人気を左右する中で、佐藤社長は(かなめ)のポジションを任され、“場の空気”を読んでニーズを的確にとらえる感性を磨いてきた。

佐藤総栄・秋田グリーンサービス社長

その経験が同社の社長となっても活きそうだ。コンビヤーダを全国に先駆けて導入したのに続き、次のターゲットとして、「ボトルネックは造林。伐根を処理できるロータリークラッシャーのような機械にチャレンジしたい」と明確に言う。常に次の局面を見据え、先手を打つセンスは、DJ時代に培われたものだろう。「募集をしなくても、なぜか働きたいという人が来る」という求心力も備えた同社には、大きな伸び(しろ)がある。

(2019年10月19日取材)

(トップ画像=タワーヤーダとハーベスタがドッキングしたコンビヤーダ)

『林政ニュース』編集部

おかげさまで、1994年の創刊から32年目に入りました! これからも皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。

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