林野庁は、「スマート林業技術の現場実装ビジョン」と「木質系新素材の社会実装ビジョン」を策定・公表した(3月30日に発表)。2019年12月に策定した「林業イノベーション現場実装推進プログラム」*1を2つのビジョンにバージョンアップした。
「スマート林業」のビジョンでは、林業DX(デジタルトランスフォーメーション)や伐採・搬出、造林に関わる課題と達成目標を示した。林業DXでは、リモートセンシングやAI(人工知能)、ICT(情報通信技術)などを活用して木材流通の変革を進めるため、従来の業務手順や商慣習を根本的に見直すことが必要とした。
伐採・搬出に関しては、傾斜度ごとの作業システムを示し、主伐の生産性(1人1日当たり)を、緩傾斜地で20~40m3、中傾斜地及び急傾斜地で15~25m3に引き上げる目標値を設定した。また、緩傾斜地(約0~20度)では欧州で普及しているCTL(Cut to Length:短幹集材)システムの導入、中傾斜地(約10〜30度)では遠隔操作・自動運転伐倒機械などの実用化、急傾斜地(約25〜35度)ではウインチアシスト遠隔操作伐倒機械や自動運転架線集材機械などの活用をメインテーマに掲げた。
造林については、省力化と自動化によって労働負荷の軽減を図ることを最優先課題に位置づけ、「スマート林業」を前提とした施業方法への転換も必要とした。

「木質系新素材」のビジョンでは、建築用材に利用できない低質材等を高付加価値用途へ振り向ける方向性を示した。
実用化を急ぐ新素材のラインナップとして、改質リグニン、セルロースナノファイバー(CNF)、ファインセルロースファイバー(FCF)、木の酒、カラマツ・トドマツの樹皮から有効成分を抽出するエシカルプラスチックなどを挙げており、付加価値の連鎖を生み出して林業収支の改善につなげる将来像を描いている。
(2026年3月30日取材)
『林政ニュース』編集部
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