黒トリュフの人工的発生に初めて成功 岐阜県森林研究所が7年かけて成果得る

黒トリュフの人工的発生に初めて成功 岐阜県森林研究所が7年かけて成果得る

岐阜県森林研究所(岐阜県美濃市)は、国産の黒トリュフを人工的に発生させることに初めて成功した(12月4日に発表)。今年(2023年)2月には森林総合研究所(茨城県つくば市)が白トリュフ(ホンセイヨウショウロ)で同様の成果が得られたことを報告しており*1、世界三大珍味として知られる高級食材のトリュフを人工栽培によって自給する可能性が広がってきた。

発生した黒トリュフ

トリュフは、生きた樹木の根に共生する菌根菌の一種で、マツタケと同様に人工栽培は非常に難しいとされている。同研究所は、2015年度から2019年度まで、森林総研とともにトリュフの人工栽培に関するプロジェクトに取り組んできた。

これと併行して、2016年に、国内産の黒トリュフであるアジアクロセイヨウショウロの菌を接種したコナラ苗木を岐阜県内の試験地に植栽したところ、7年が経過した今年10月、地面にきのこ(2個、約50g)が発生していることを確認した。これらのきのこを遺伝情報(DNAマーカー)に基づいて調べた結果、コナラ苗木に接種したトリュフ菌に由来することがわかった。

国内で流通しているトリュフは、すべてヨーロッパや中国などから輸入されており、2022年の輸入額は約20億円(財務省「貿易統計」による)にまで増加してきている。

ヨーロッパでは、黒トリュフなど一部の種で菌を接種した苗木による人工栽培が行われている。国内には、ヨーロッパのものとは別種のトリュフが自生しており、それらを用いて国産トリュフの栽培技術を確立することが有望視されている。

同研究所は、きのこ発生の再現性を確認し、短期間で安定的に発生させる技術開発などを進めることにしている。

(2023年12月4日取材)

『林政ニュース』編集部

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