労働災害の撲滅を目指し、JVCケンウッドと全森連が連携協定締結

全国 機械・器具

総合電機メーカーの(株)JVCケンウッド(神奈川県横浜市、江口祥一郎社長)は、全国森林組合連合会(東京都千代田区、中崎和久会長)との間で、林業労働安全対策の強化に向けた連携協定を12月12日に締結した。同社が構築している通信ネットワークと業務用無線機を活用して、安心・安全な労働環境を実現し、林業労働災害の撲滅を目指す。

国内の林業現場は、携帯電話基地局から離れたところが多く、電波が届かないエリアが大半を占めている。いわゆる“圏外”を解消するために衛星通信等を使ったインフラ整備が進められているが、コスト面などがネックとなって導入が進みにくい実態がある。

同社が提供しているネットワークは、低い周波数帯を使用して波長が長く、送信出力も高いので森林内でも安定した通信環境を確保できる。また、同社の無線機は、音声通信に加えて、利用者の転倒や静止を検知して自動的にエマージェンシーコールを発したり、位置情報などのデータ送受信にも対応するなど、安全性と利便性を高める機能を備えている。

無線機を手にするJVCケンウッドの鈴木昭・代表取締役専務執行役員セーフティ&セキュリティ分野責任者(左)と全国森林組合連合会の中崎和久会長

これまでに同社は、(株)ブレイクスルー(北海道札幌市、北原健太郎社長)と連携して林業専用コミュニケーションシステム「Soko-co Forest」を開発し、平戸市森林組合(長崎県)や南富良野木材産業(株)(北海道)などへ導入してきている。

こうした実績を踏まえ、今回の協定締結を契機に、全森連のネットワークを通じて同社の無線機などの販売や貸し出しを増やして普及を加速化するとともに、作業現場での実証実験なども行って、製品の改善に反映させていくことにしている。

無線事業は北米中心に稼ぎ頭、豊富なノウハウ活かし日本林業を支援

JVCケンウッドは、2008年10月に当時の日本ビクター(株)と(株)ケンウッドが経営統合して新発足し、現在は映像・音響・無線技術の3つを事業の柱に据えている。

同社の年間売上額は約3,700億円で、その約半分はカーナビ関係が占めているが、事業利益面では業務用無線機器等を活用したセーフティ&セキュリティ分野が全体の7割以上を稼ぎ出している。

旧ケンウッド時代から引き継いでブランド展開をしている無線事業は、1983年に米国へ進出し、世界最高峰の自動車レース・F1のマクラーレンチームに無線システムを提供し、通信環境の整備やノイズリダクション、暗号化など様々なノウハウを培ってきた。

直近では、北米の警察・消防・救急事業に同社のデジタル無線システムが採用され、「この2~3年で北米の業績が急速に伸びてきている」(担当者)状況だ。北米は世界的な無線機器メーカー・モトローラの牙城だが、「それに次ぐポジションにいるという評価をいただけるようになってきた」(同)という。

同社は、一昨年(2024年)10月に横浜市の本社エリア内に新研究棟「JVCKENWOOD HYBRID CENTER」を開設し、車が入る広さの電波暗室や、特殊な構造の無響室など最新の試験・評価設備を整えて、「堅牢で落下や防水にも強い無線機の開発体制を強化している」(同)。

外部からの電磁波の影響を受けない「電波暗室」
音の反響を最小限に抑えて理想的な「自由音場」をつくっている「無響室」

北米向けも含めてすべての無線機は山形県鶴岡市の工場((株)JVCケンウッド山形)で製造しており、メイド・イン・ジャパンにこだわりつつ世界市場に挑む構えをベースにしながら、「日本の林業を支援していく」(同)ことにしている。

無線機の落下試験

(2025年12月12日取材)

(トップ画像=JVCケンウッドの本社で行った協定締結式に出席した関係者)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から31年目に突入! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。

この記事は有料記事(1625文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。