政府が11月19日に決定した経済対策に基づいて編成される今年度(2021年度)補正予算(案)の概要が明らかになった。林野庁関係で焦点となっていた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」と「総合的なTPP等対策」については所要額が措置される見通しだ。
林野予算の主力である一般公共事業では、例年と同じく今年度補正と来年度(2022年度)当初予算を合わせて2,600億円を確保することが目標になる。そのカギを握るのが「5か年加速化対策」による“上積み”だ。今年度補正では前年度水準は下回るものの必要額は確保できるとみられている。また、今年8月の大雨災害からの復旧・復興費や、盛土災害の防止対策に必要な経費も盛り込むことで調整が進んでいる。
「総合的なTPP等対策」に関しては、現行の「合板・製材・集成材国際競争力強化・輸出促進対策」に、いわゆる「ウッドショック」対策を加え、「木材産業国際競争力・製品供給力強化緊急対策」として所要の予算額を計上することが検討されている。加工施設の大規模化や高効率化に必要な経費について助成するほか、国産材製品の供給力アップに向けて乾燥施設や横架材・羽柄材等の生産施設の整備を支援する方針。また、国産原木の供給力を高めるため、路網整備や高性能林業機械の導入に対して助成するとともに、主伐後の確実な再造林を進めるため、エリートツリー等の苗木生産施設の整備なども補助メニューに位置づけることにしている。併せて、木材製品等の輸出促進や木材製品の消費拡大などに関する需要喚起対策も講じる見通しだ。
このほか、担い手の育成対策費も計上される予定。林業への就業相談会(ガイダンス)を都市部と地方で開催するほか、就業希望者向けのトライアル雇用(短期研修)や、素材生産従事者を対象に造林技術を習得するための研修に必要な経費なども盛り込むことにしている。
(2021年11月20日取材)
『林政ニュース』編集部
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